誠実な態度で聞く
まずは誠実に、最後まで聞きとおす
また、人間ですから、その時々いろいろな感情で仕事をしています。腹を立てていることもありますし、焦っている時もあります。いつもいつも話を聞くのに最適の状態であるわけではないのです。
一方、話しかけてきた部下の気持ちはどのようなものでしょうか? トラブルが発生して困り果てて、藁にもすがる状態かもしれません。いいアイデアが思いついて、勢い盛んに話したい状態かもしれません。なかなか進まないプロジェクトの報告を求められ、戦々恐々と報告しようとしているかもしれません。
いずれにせよ、どこか、意を決して話しかけている状態ではないでしょうか? その際、対応するこちらとして、パソコンに向かってキーボードを打ったまま対応したり、不機嫌そうに受け答えては、その部下の思いを出鼻から挫いてしまうことになりませんか?
このような話があります。小さな女の子が、家の庭に咲いていた綺麗な花を摘んでお母さんのところに駆け寄りました。「見てみて、お母さん。きれいでしょう!」。お母さんは、なにやら家事の最中。いらいらしながら、「後にして!いま忙しいの!」。この時の女の子の気持ちはどのようなものでしょうか? これからも同じようにお母さんに話しかけるでしょうか?
部下が話しかけてきたら、いましている仕事はいったん止めて、それではいまから話を聞きましょう、そのような態度をしてあげると良いでしょう。部下はその時点で、まずはホットするはずです。第一次関門突破です。上司が話を聞いてくるという関門を突破したのです。
当然、手を離せない仕事中であれば、それを説明して、あらためて、いつであれば話が聞けるかを説明します。中途半端に、作業をしながら話を聞くことだけは避けたいものです。話を聞いてあげるということは、マズローの欲求段階の第四段階、承認の欲求を満たしてあげることにも繋がります。
最後まで聞きとおす
部下が話し始めたら、最後まで聞いてあげましょう。これも当たり前のことですが、なかなかできないものです。結論が見えてしまったり、途中で間違いに気づいてしまったり、話がまどろっこしくて聞いていられなかったり。途中で遮ってしまうことが、非常に多いのではないでしょうか?途中で話を遮られた時の部下の気持ちはどうでしょうか? 人は誰しも「メンツ」があるものです。そのメンツが丸つぶれ、ということもあるでしょう。遮られることで、勢い盛んであった気持ちがしぼんでしまうかもしれません。
話を遮られることが続くと、部下はどうなるでしょうか? 上司の顔色を見ながら、恐る恐る話すようになりはしませんか? 「あの言葉を使うとダメだしを食らう」、「話す順次を間違えると聞いてもらえなくなる」。確かに、教育的指導ということもあるかもしれません。
しかし、それは全てを聞いてあげてからでも遅くないはずです。話が終わってから、自分だったら、このように話す、説明すると教えてあげればいいことです。忙しい上司としては、最後まで聞くことは、忍耐の一言かもしれませんが…。
ですが、話している内容もさることながら、あの上司には気軽に話せるという、部下のマインドの醸成を優先してあげた方が、その後の関係という点では有効ではないでしょうか?