不用品回収には許可が必要?
近年、断捨離という言葉も一般的になってきました。自宅やオフィスを引っ越す際には多くの方が断捨離を行い、そして多くのゴミが出ます。引越しのときのゴミ
ゴミが出れば業者さんに処分場へ運んでもらうと思いますが、今日はそんなゴミを持っていってもらうときの注意についてです。
たとえばオフィスを引っ越す際、不要になった机や棚、椅子などが出てくると思います。それらは事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分かれるわけですが、これらを運ぶためには、それぞれ一般廃棄物収集運搬業、産業廃棄物収集運搬業という許可を持っていることが必要です。
また、不用品を買い取る場合には古物商という許可が必要になります。一般的に古物商とは古着屋やリサイクル事業を行うのに必要な許可ですが、不用品回収の場合も転売目的で買い取る場合には古物商にあたるわけです。
買取りには古物商
不用品回収のチラシをよく見ると、その多くが産業廃棄物収集運搬業や古物商の許可を持っていることがアピールされています。しかし、不用品を買い取るのでなく、こちらが処分費を払って業者に持って行ってもらう場合には、その業者は一般廃棄物処理業の許可が必要になり、多くがこの許可を持っていません。
一般廃棄物収集運搬業は古物商や産業廃棄物収集運搬業と違って、要件を整えて申請すれば許可が出るというものでなく、そもそも市区町村が募集をしなければ申請することもできません。つまり、一般廃棄物収集運搬業の許可を得ることはきわめて狭い門であるのです。
排出者責任ってなんだ?
廃棄物処理法では、「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。(第3条)」と規定し、これにより、排出事業者の処理責任が明確化されています。自宅やオフィスの引っ越しにあたり、不用品が出た場合、自分たちで処理をするのでなく、業者の方に処理を委託すると思いますが、もし、委託した廃棄物が不法投棄や不法輸出などの不適正な処理がなされていることがわかったら、責任は処理業者だけでなく、廃棄物を出した排出事業者にもかかってきます。
たとえば自社の引越しから出た廃棄物の運搬を委託した業者が無許可業者であり、かつ、その廃棄物を不法投棄したとします。そして、その後その業者が倒産をしてしまい、実質的に原状回復などが不可能になってしまったとしましょう。この場合、排出者の責任として、代わりに廃棄物の撤去などを行わねばなりません(これを措置命令といいます)。さらには業者名の公表もあり得ます。
処分費用を払って持っていってもらったのに、膨大な出費の元で原状回復費用も出さねばならない可能性があるのが「排出者責任」なのです。いうまでもなく、廃棄物が適正に処理されるように、排出者も責任を持って業者に委託しなければならないという趣旨です。
この排出者責任は法令の改正を重ね、近年さらに強化されています。廃棄物を減らすのも排出者責任の大きな役割ですが、処理を委託する際にも廃棄物の適正処理のためにしっかりとした対応をしていくこと、それがとても大事なのです。