宅地建物取引士(宅建)試験/宅建試験に合格するための勉強法

平成27年度宅建試験 法改正と予想問題(2ページ目)

平成27年宅建試験では、同年4月1日までに施行された法律が出題されます。特に、法律が改正されたところは、実際の不動産取引実務で問題視されていたことなので、これから宅地建物取引士になろうとする人が知らないというのでは困ります。しっかりと改正点を整理して覚えておきましょう。

田中 嵩二

執筆者:田中 嵩二

宅建試験ガイド


法令上の制限の改正

1.土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部改正
平成26年8月豪雨により広島市北部で発生した土砂災害等を踏まえ、土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、都道府県に対する基礎調査の結果の公表の義務付け、都道府県知事に対する土砂災害警戒情報の市町村長への通知及び一般への周知の義務付け、土砂災害警戒区域の指定があった場合の市町村地区防災計画への記載事項の追加等の措置が講じられました。

土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律施行規則において、基礎調査の結果として、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命または身体に危険が生ずるおそれがあると認められる土地の区域および急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民等の生命または身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域、すなわち、土砂災害警戒区域等に相当する範囲を平面図に明示して、都道府県の公報への掲載、インターネットの利用その他の適切な方法により公表するものとされました。

なお、基礎調査の結果について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為は、宅建業法47条1号に違反する場合があります。

また、土砂災害警戒区域等については、従前より、宅建業法35条1項に基づく重要事項説明の対象とされています。具体的には、取得し、または借りようとしている宅地または建物が土砂災害警戒区域内にある場合にはその旨、土砂災害特別警戒区域内にある場合にはその制限の概要を説明することとされています。

【予想問題】
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律によれば、都道府県は、土砂災害警戒区域等における基礎調査の結果として、同区域に相当する範囲を平面図に明示して公表しなければなない。

<解説>
⇒〇 公表が義務付けられました。


2.都市再生特別措置法等の一部を改正する法律(都市計画法・建築基準法)

周知の通り、我が国は人口減少社会に突入し、特に地方都市では拡散した市街地で急激な人口減少が見込まれる一方、大都市では高齢者の急増が見込まれています。そこで、健康で快適な生活や持続可能な都市経営の確保が重要な課題となっています。この課題に対応するため、都市全体の構造を見渡しながら、住宅及び医療、福祉、商業その他の居住に関連する施設の誘導と、それと連携した公共交通に関する施策を講じることにより、市町村によるコンパクトなまちづくりを支援することが必要となったことが改正の趣旨です。

(1)立地適正化計画
都市再生特別措置法等の一部を改正する法律で新設された立地適正化計画とは?

平成27年度宅建試験 法改正


立地適正化計画とは、市町村が都市全体の観点から作成する、居住機能や福祉・医療・商業等の都市機能の立地、公共交通の充実等に関する包括的なマスタープランをいいます。立地適正化計画は、その区域を記載するほか、おおむね以下の事項を定めることになっています。

・住宅及び都市機能増進施設の立地の適正化に関する基本的な方針
・居住誘導区域及び居住誘導区域に居住を誘導するために市町村が講ずべき施策
・都市機能誘導区域(都市機能増進施設の立地を誘導すべき区域)及び誘導すべき施設並びに当該施設の立地を誘導するために市町村が講ずべき施策

立地適性化計画区域のうち、居住誘導区域外において3戸以上の住宅等の新改築や住宅等への用途変更、またはそのための開発行為(1,000平方メートル以上)を行おうとする場合には、着手の30日前までに市町村長に届け出なければなりません。この届出に係る行為が住宅等の立地誘導に支障がある場合には、市町村長は立地適正化のための勧告を行なうことができます。

立地適正化計画区域のうち居住誘導区域以外の区域(市街化調整区域を除く)で住宅地化を抑制すべき区域について、都市計画に居住調整区域を定めることができます。その居住調整区域内での3戸以上の住宅等の新改築や住宅等への用途変更、またはそのための開発行為(1,000平方メートル以上のもの)に対して、市街化調整区域と同様の規制が適用されます。

(2)都市機能誘導区域
都市機能誘導区域とは、都市再生を図るため、医療施設、福祉施設、商業施設などの都市機能増進施設の立地を誘導すべき区域として立地適正化計画で定められる区域をいいます。都市機能誘導区域を定める場合には、区域ごとに、立地を誘導すべき都市機能増進施設(誘導施設)および誘導施設の立地を図るための事業などが併せて定められます。

都市機能誘導区域内で民間事業者が誘導施設等を整備する事業(事業規模が、誘導施設の整備については500平方メートル、施設利用者の利便施設の整備については1,000平方メートル以上のもの)を行なう場合には、事業計画の認定を受けて、民間都市機構の出資などの支援を得ることができます

都市機能誘導区域内に誘導すべき施設についての容積率及び用途の制限を緩和する特定用途誘導地区を都市計画に定めることができます。

(3)居住誘導区域
居住誘導区域とは、都市再生を図るため、居住を誘導すべき区域として立地適正化計画で定められる区域をいいます。人口減少の中にあっても、一定のエリアにおいて人口密度を維持することにより、生活サービスやコミュニティが持続的に確保されるように居住を誘導することが目的です。

居住誘導区域内においては、居住環境の向上、公共交通の確保など居住を誘導するための措置が講じられる一方、居住誘導区域外においては、3戸以上の住宅等の新改築や住宅等への用途変更、またはそのための開発行為(1,000平方メートル以上)を行なおうとする場合には、着手の30日前までに市町村長に届け出なければなりません。届出に係る行為が住宅等の立地誘導に支障がある場合には、市町村長は立地適正化のための勧告をすることができます。

居住誘導区域において一定規模以上の住宅整備事業を行おうとする者は、都市計画の提案を行うことができます。

居住誘導地区内で20戸以上の住宅を整備する事業者は、事業実施のために必要な場合には、用途地域、地区計画等の一定の都市計画または景観計画の決定・策定または変更を提案することができます。

【予想問題】
立地適性化計画区域のうち、居住誘導区域外において3戸以上の住宅を新築するための開発行為を行おうとする場合には、規模にかかわらず着手の30日前までに市町村長に届け出なければならない。

<解説>
⇒×
 1,000平方メートル以上が届出の対象です。


次のページでは2年に1度は出題される不動産鑑定評価基準についての改正点をご説明いたします。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます