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月の名前と旧暦の関係…日ごとに変わる呼び方

旧暦の日付に対応する月の名前と月齢の違いについて解説します。月齢とは、月が新月になった瞬間から経過した時間を、日単位で表したもの。人間でいう年齢のようなものです。昔の日本人は、日に日にカタチを変えていく月に親しみをこめて名前をつけました。

執筆者:景山 えりか

旧暦の月の名前……月齢とは、人間の年齢のようなもの

旧暦の月の名前

旧暦の月の名前

まずは月齢から説明しましょう。
月齢とは、月が新月になった瞬間から経過した時間を、日単位で表したもの。人間でいう年齢のようなものです。

生まれたばかりの赤ちゃんは0歳ですが、ひと月経過するごとに1ヵ月、2ヵ月といいますよね。それに似ていて、新月は月齢0.0で、1日ごとに1ずつ月齢は増えていきます。

ここでいう「新月は月齢0.0」とは、新月になった瞬間という意味です。手帳やカレンダーを見ると、新月のマークは日付に対してついています。しかし、天体はつねに動き続けているので、1日の中でも少しずつ位置関係が変わっていきます。厳密にいえば、新月とは太陽・月・地球の順に天体が1列に並んだ瞬間の現象。何時何分と時刻で示すことができるのです。

たとえば、1月1日0時0分が新月になった瞬間だとすると、そのときが月齢0.0。同日の12時0分は12時間経過したことになるので月齢0.5、1月2日0時0分は月齢1.0という具合です。

満月以降、月の見た目は欠けていきますが、月齢はあくまで時間の経過を表したもの。日に日に月が欠けていっても月齢は1ずつ増え続け、次の新月の瞬間がくると0.0に戻ります。ここが、年をとり続けるいっぽうである私たち人間とは異なる点ですね。なお、月の満ち欠けの周期は約29.5日ですから、月齢が50や100になることは絶対にありません。 
 

同じ日付なのに月齢の値が違う理由

月齢が0.0になる新月の時刻は、毎回ぴったり同じにはなりませんよね。すると、手帳やカレンダーに日単位で月齢の値を記載するには、基準となる時刻が必要になります。

そのため、一般的には正午を基準とし、その月齢を「正午月齢」と呼びます。ただし、必ず正午月齢の値を採用しなければいけない、というわけではありません。月齢を定める時刻は任意です。ちなみに、私が使っている手帳の場合、月齢は21時の値だと但し書きがありました。

新聞やカレンダー、スマホのアプリなど、月齢を確認する方法はいろいろありますが、同じ日付にもかかわらず月齢の値が違っていたとしたら、それは基準とする時刻が違っているということを意味しています。
 

日付に対応している月の名前

「三日月」とは、新月の日を1日目と数えて、3日目(3夜目)に出てくる月という意味。旧暦(太陰太陽暦)の1月3日、2月3日、3月3日……というように、各月の第3日目の月は、すべて三日月です。

旧暦では、毎月1日は必ず新月の日。つまり三日月という名称は月齢には関係がなく、旧暦の日付を根拠にしているのです。
夕焼け空に輝く月。月の名前を知らなくたって、月が美しいことに変わりはありませんね

夕焼け空に輝く月。月の名前を知らなくたって、月が美しいことに変わりはありませんね

旧暦の日付と月の満ち欠けは対応していて、日ごとに月の名前が次のように変わっていきます。

・1日……朔(さく)
朔とは新月のこと。また、「朔日」と書いて「ついたち」と読みます。

・2日……二日月
・3日……三日月
・4日……四日月
・5日……五日月
・6日……六日月
・7日……七日月
・8日……八日月
・9日……九日月
・10日……十日月
・11日……十一夜
・12日……十二夜
・13日……十三夜


ここまでは日付の順を追った名前ですが、14日から20日までは、ユニークな名前がついています。月の出が、前日よりも平均50分遅いことを踏まえると、名前の意味や情景がよく理解できます。

・14日……小望月(こもちづき)、待宵月(まちよいづき)
十五夜(望月)の前日。待宵とは字の通り、宵になるのを待つことです。

・15日……十五夜、望(ぼう)、望月(もちづき)
十五夜といえば、ほぼ満月です。望月とは満ち足りたさまを表します。望には「願うこと」という意味もありますから、まんまるの月に願いをかけたくなる人の心理は、昔も今も変わらないのかもしれません。

・16日……十六夜(いざよい)
前日の十五夜に比べて、少し遅い時刻に昇ってきます。昔の人は、月自身が出てくるのを躊躇しているように感じたのでしょう。「いざよい」とは「ためらう」という意味です。

・17日……立待月(たちまちづき)
さらに遅れて出てくる月を、まだかまだかと立ったまま待つ様子を表しています。

・18日……居待月(いまちづき)
立ったままでは疲れるので、座って月の出を待ちます。

・19日……寝待月(ねまちづき)
待ちくたびれて、ごろんと横になって月を待ちます。

・20日……更待月(ふけまちづき)
とうとう夜が更ける頃でないと月は昇ってきません。

街灯がなかった時代、闇夜を照らすのは月明かりのみ。暗闇の中で、人々が月の出をどれほど待ちわび、月の明かりを求めていたことか。その暮らしぶりを想像しながら月の名前を見ていくと、昔の日本人と月が親密な間柄だったことが伝わってきます。

21日以降は、日付の順を追った名前に戻ります。
日に日に変わっていく月のカタチ。月の名前、全部いえますか?

日に日に変わっていく月のカタチ。月の名前、全部いえますか?

・21日……二十一夜
・22日……二十二夜
・23日……二十三夜
・24日……二十四夜
・25日……二十五夜
・26日……二十六夜
・27日……二十七夜
・28日……二十八夜
・29日……二十九夜
・30日……晦日(つごもり)

月が隠れて見えなくなる「月隠(つごもり)」から転じた言葉といわれています。

このように旧暦のひと月は、月の満ち欠けを基準としています。満ち欠けの周期は約29.5日のため、ひと月は29日間もしくは30日間のどちらかです。最終日が29日の場合は、29日が晦日になります。

今日の月が三日月かどうか知りたいとき、確かに月齢は目安になります。ですが、新月の日を1日目と数えて3日目が三日月と覚えるほうが簡単、しかも正確。十三夜にしても十五夜にしても同様です。

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