世界一長い曲のピアノ演奏時間
世界一長い曲が作られた理由
サティと言えば、BGMで耳にする機会も多い「ジムノペディ」や「ジュ・トゥ・ヴー」など、聞いていて心地良い音楽を作ったことでよく知られる作曲家。しかし、彼はまた「音楽界の異端児」「変人」と呼ばれる一面をもち、伝統を打ち破った風変りな作品でも有名。「ヴェクサシオン」は、そんなサティのブラックジョーク的な一面をのぞかせる曲です。
世界一長い曲の楽譜のページ数
演奏に18時間以上もかかるというこの長い曲の楽譜は、いったい何ページあると思いますか?何冊にも及ぶ膨大なページ数の楽譜を想像するでしょう。しかし、これがなんとたったの1ページしかないのです!実はこの曲、拍子記号も小節線もない楽譜に並んだ52拍分の音を840回繰り返すという構成。音符の数は少ないですが、テンポの指示は「Très lent =非常に遅く」なので、1回弾くのに約1分半ほどかかります。
どんなに好きな曲でも、続けて840回弾いたり聞き続けたりするのは、かなりの忍耐力が必要なのではないでしょうか? もはやそれは、曲を楽しむというより演奏者や聞き手に対してのイジメ!
作曲家サティがこの曲で表現したかったこと
楽しむための音楽ではなく苦しむための音楽。実はそれがまさに作曲者サティがこの曲で表現したかったことなのです!曲名の「ヴェクサシオン」は、嫌がらせ、辱めという意味。つまり、不快感を抱かせることを意図して作られた曲なのです。この曲は間違いなくその点に関しては大成功を収めた曲と言えますね。
サティの死後38年目の初演
残念ながらサティ本人は、長時間に渡るこの音楽の嫌がらせを実際に聞くことはありませんでした。「ヴェクサシオン」が初めて演奏されたのは、サティが亡くなってから38年後のこと。複数のピアニストによるリレー演奏というかたちで行われました。さて、あなたはこの曲、何時間ぐらい耐えられると思いますか? 【関連記事】