2016年の中学受験は男子・女子とも2回目入試に要注意
それでは2016年の中学受験はどうなるのでしょうか。上記のような理由から、2015年春と比べて全体の難易度や受験生動向が大きく変化するとは考えにくいです。しかしながらいくつかの学校においては入試日程変更等が行われるため、その周辺校では注意が必要です。まず一番警戒しなければいけない変更は、男子校の桐朋中学の2回目入試の新設です。これにより1回目の募集定員が減り難易度が上がることが予想されます。また2月2日に桐朋中の受験が可能となるため、男子上位校の併願パターンに変化が生じます。2月1日・2日の男子上位校受験生は、公開模試における志望状況や1月に出される出願状況などの情報を細かく入手しながら、慎重に併願校選定をおこなう必要があるでしょう。
鴎友学園女子中の入試日程変更も、女子上位校志望者には少なからぬ影響を与えそうです。鴎友では従来おこなっていた2月2日の2回目入試を2月3日に移動し、2月4日におこなっていた3回目入試を廃止します。これにより同レベルの吉祥女子との併願が可能となるため、上位生のみならず鴎友・吉祥女子にチャレンジする層にも影響を及ぼすことは必至です。
10年後の中学受験の未来を大胆に予想する
それでは将来の中学受験の世界はどうなっているのでしょうか。そんな先の話はうちには関係ないわ、とお思いの方もいらっしゃるでしょう。しかし現在小6生のお子さんが大学を卒業するのが、今から約10年後。その時にお子さんが受験した学校がどのような評価を得ているのかを予測しておくことは、とても重要なことだと思います。未来の中学受験像を占うにあたり、まずとらえておかなければならないことは、従来型の偏差値による価値基準が崩れつつあるという現実です。以前は「良い大学を出てよい会社に入れば一生安泰」という学歴神話がありましたが、現在はたとえ良い大学を卒業したとしても就職口が見つかるとは限らず、また一流企業に入社できたとしてもその会社が潰れないという保証のない、そんな時代に突入しています。職業が多様化し、必ずしも学歴と収入が比例しなくなってきてもいます。また日本という国にこだわらず、世界に活躍の場を広げていこうという考え方も一般化しつつあります。10年前とは明らかに、社会のありようが変質してきているのです。
中学受験の細部に目を落としてみると、たとえば山脇学園中では「クロスカルチャークラス」という英語の学習歴のある生徒と帰国子女の生徒の混合クラスを設置し、それに向けて来春(2016年)からは、英語特別枠入試というものを実施する予定です。また海城中・攻玉社中・渋谷教育学園渋谷中など数多くの学校で帰国子女枠入試を設け、その定員も年々増加傾向にあります。学校によっては出願資格の規定を緩めて、より広い範囲の生徒を募集するようになっており、中学受験におけるグローバル化は確実に進んでいると言えます。
こうしたことから予想するに、私は10年後の中学受験は現在のそれとは大きく様変わりし、偏差値や大学進学実績などの従来型の価値基準はあまり重要視されなくなり、より魅力的な特徴を打ち出した学校が人気を集めるようになっていくと考えます。将来中学受験をお考えの方は、そうした時代の到来を予測し、それに先んじて情報を集めていかれることを強くお勧めします。中学受験激変への胎動が、もうすでに始まっているのです。
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