現代は“クロスオーバー全盛の時代”
クロスオーバーというと、いわゆるSUV系のモデルを想像される方が多いことだろう。けれども、本義的にクロスオーバーとは、異なるジャンルやカテゴリーの融合を指し示すす自動車の場合もそうで、いわゆるクロスオーバーSUVというのは、乗用ワゴン(モノコックボディ)と本格クロカン4WD(SUV、トラックボディ)の融合により、そもそもは生まれたカテゴリー。現在では、FFベースが主流で、クロカンスタイルがファッションとなって久しい。
そう考えると、現代は“クロスオーバー全盛の時代”とも言える。趣味のあり方や生活スタイルが多様化した結果、セダンやワゴン、クーペといった以前のスタンダードなキャラ分けだけでは、名実ともに成立しづらいマーケットになっているからだ。それぞれのキャラクターの“いいとこ取り”をしたデザインや性能のクルマが増えていることは、市場を見渡せば、一目瞭然だろう。
特にドイツ車では近年、自社ラインナップのスキマを埋める、ニッチカテゴリーの開発が進んでいて、(数が少なくても商機のある)プレミアムブランドを中心に、これまでにないフルラインナップ化が起きている。どこかのブランドからヒット作が登場すれば、ライバルブランドもまた追従せざるをえないという、プレミアムブランドならでは、の市場ニーズもそうなる要因のひとつだろう。
というわけで、今回取りあげる“クロスオーバー”というカテゴリーは、2つ、場合によっては3つのカテゴリーを融合した、比較的新しいジャンル(というのは、いわゆるクロスオーバーSUVなどは1970年代に既にその萌芽が見受けられる)のクルマのことをいうことにする。
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