奨学金ひとりの返済総額は平均324万円、返済期間は18年

2014年の3月にマイナビスチューデントが2014年卒業予定の就職内定者379人におこなった調査では、40.6%の人が奨学金の返済を抱えており、平均の返済総額324万円、返済期間が18年であることがわかりました。

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奨学金の平均返済総額と返済期間

これは日本学生支援機構が公表している利用率とほぼ同じなので、現在の大学生の実態を表しているといっていいでしょう。

単純計算すると、月々の返済額が1万5000円ほど。決して返せない額ではないでしょうが、気になるのが18年という長い返済期間です。

大学卒業後、40歳まで奨学金の返済を抱えるということが精神的負担になることは容易に想像でき、結婚の障害にもなりかねません。

そんななか、社員の奨学金の返済負担の軽減に取り組む企業が出てきました。

社員の奨学金の返済負担を軽減する企業

株式会社ノバレーゼ(東京都中央区) 社員の奨学金返済を最大200万円支援
ウェディング、レストラン運営の東証一部上場企業。「奨学金返済支援制度」として、勤続5年目に100万円、10年目に100万円の計200万円を上限に奨学金の未返済分を支給。

株式会社オンデーズ(東京都港区) 奨学金の月々の返済額を給与に上乗せして支給
メガネ、サングラス等の販売を全国チェーン展開する企業。2014年度から「奨学金返金救済制度」を導入し、日本学生支援機構の月々の返済相当分を給与に上乗せして支給。

株式会社GOSPA(東京都新宿区) 奨学金の返済を会社が100%負担
WEB制作のベンチャー企業。2016年度採用社員を対象に「奨学金買取制度」を実施。入社時に申請した奨学金の月々の返済額を完済するまで給与に上乗せして支給。

トヨタグループ「リケ女奨学金」
理系女子学生対象の奨学金制度として「トヨタ女性技術者育成基金」を創設。トヨタ自動車ほかグループ企業10社のいずれかに入社すると全額、他の製造業なら半額を同基金が肩代わりして返済。

ノバレーゼ社では、勤続5年目、10年目の奨学金残高に対して、それぞれ最大100万円が支給される仕組みなので、繰上げ返済して返済期間を短縮することができます。

オンデーズ社とGOPA社は、毎月の給与に奨学金の返済額が上乗せされる仕組みなので、返済期間は短縮されなくとも、奨学金の負担感はゼロになるでしょう。

前者の3企業は、優秀な人材の獲得と社員の定着を狙った取組みだと思います。

トヨタの「リケ女奨学金」は、新聞でも取り上げられたので目にした人も多いと思います。トヨタの奨学金の目的は、自社のためだけでなく業界全体を考えての人材育成や、女性活躍推進法など日本企業の今後の姿を見据えた取組みといえるかもしれません。

奨学金返済を支援する自治体の取り組み

民間企業だけでなく、地方自治体でも奨学金の返済を支援する取り組みが始まっています。

その先駆けとなったのは2011年に香川県が創設した香川県大学生等奨学金でしょう。これは香川県独自の奨学金採用者が地元企業に就職すると、奨学金の返済を一部免除するというもので初年度から大きな反響がありました。

最近では、鳥取県が独自に2億円もの基金を設けたことが報じられています。
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日本海新聞 2015年8月4日より
鳥取県 奨学金返還を手助け 未来人材育成基金を開設
鳥取県は3日、県内の特定職域に就職を目指す若者の奨学金返還を手助けする「県未来人材育成基金」を開設した。民間からの寄付金1割、県の出資9割の割合で創設し、規模は2億円。助成対象は、県内の製造業やIT企業、薬剤師の分野に就職する35歳以下の高専生、大学生ら。最大で奨学金返還額の半額を助成する。県と民間の出資による奨学金返還助成の基金の創設は全国初。
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奨学金の返済負担を軽減する目的

現在、文科省と総務省が奨学金の地方創生枠制度に取組んでいますが、これは若者支援に対する各自治体の本気度が試される施策ともいえます。

そのほか、メディアで取り上げられたいくつかの自治体の取組みを紹介します。

福井県 『ふくいものづくり奨学金』
理工系大学院生が県内のものづくり企業に7年間勤めた場合は奨学金の返済を免除。

兵庫県加西市 『加西市UJIターン促進補助金交付制度』
加西市内居住者の奨学金の前年度の返済額の1/3を市が補助。

東京都八王子市 『若者雇用促進・奨学金返済アシスト制度』
八王子市内居住者が指定する市内企業に就職するか起業した場合、年額5万円を100名に支給。支給期間の上限は2年間。

栃木県宇都宮市 『返還免除型育英修学資?貸付制?』
大学等を卒業後5年間宇都宮市に居住することで奨学金の返済を免除する。家庭の収入と成績基準あり。

同県内の栃木市でも2016年度から同様の制度の導入を検討しているとのこと。

企業や自治体が独自に奨学金の返済支援に乗り出すケースは、今後ますます増えてくると思われます。

限られた財源のなかで、若者の経済支援に取組む企業や自治体の動きを今後見守っていきたいと思います。
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