仕事と介護の両立支援は3つある

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もうダメだ、辞めるしかない……と決める前に、介護支援制度を利用してみましょう

育児介護休業法では、仕事と介護を両立するための支援制度として「介護休業」「介護休暇制度」「所定労働時間の短縮等の措置」などを定めています。

これらの制度を利用・取得できるのは、原則要介護状態の家族を介護するすべての男女労働者(日々雇用者や一定の雇用条件の人を除く)。従業員が事業主に申し出て取得します。

いずれの制度も、要介護状態と対象になる家族の要件は同じですが、利用目的や取得期間などは異なります。共通要件は次の通りです。

●要介護状態
2週間以上の期間にわたって負傷、疾病または障害によって常時介護を必要とする状態。介護保険制度の要介護状態とは異なるので、要介護の認定を受けていなくても利用できる。

●対象となる家族
配偶者(事実婚や同様の事情にある者を含む)
・自分や配偶者の父母
・子ども
・同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫

介護休業と介護休暇制度の違い

介護休業と休暇は「介護のために休みを取得する」という点では同じですが、その利用目的や利用期間などは次のように異なります。

●利用目的
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介護認定のためにも休暇が取れる


・介護休業:一定期間休業し、対象家族の介護をする。
・介護休暇制度:1日単位で休暇を取得。介護だけでなく、通院の付き添いや介護サービスの提供を受けるための手続きの代行など、必要な世話をする。

●取得期間

・介護休業:対象家族一人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算して93日まで。休日も日数にカウントされる。
・介護休暇制度:対象家族が一人の場合は一年度(一般に毎年4月1日~翌年3月31日)につき5日まで、対象家族が複数の場合は10日まで。

●取得方法
・介護休業:取得の2週間前までに書面で事業主に申し出る。
・介護休暇制度:かならずしも書類を提出する必要はなく、口頭や当日の電話などでの申し出も可。
 
●休業・休暇中の給料
両制度とも事業主に対し休業・休暇期間中の賃金を支払う義務を負わせていない(つまり無給)。

ただし介護休業では、一定の要件を満たす社会保険の被保険者に対して、雇用保険から介護休業給付金(平成27年7月31日の上限額は17万0520円、下限額は6万9000円)が給付される。給付額は次の通り。

・支払われる賃金が40%以下:賃金月給の40%相当額を支給
・支払われる賃金が40%超え80%未満:賃金月額の80%相当額と賃金の差額を支給
・支払われる賃金が80%以上:支給なし

短時間勤務や時差勤務、フレックスタイムを利用する手も

次に、両立支援策の残りの柱、「所定労働時間の短縮等の措置」について見ていきましょう。

事業主は、介護休業を利用しない従業員に対して、次の4項目いずれかの措置を講じ、希望すれば介護休業を取得した日数と合算して93日間は利用できるようにする必要があります。4つすべての措置を講ずるようには義務づけられていませんが、選択肢を広げる工夫は望まれています。

1. 短時間勤務の制度
2. フレックスタイムの制度
3. 始業・終業時刻を繰上げ・繰り下げる制度(時差出勤の制度)
4. 介護サービスを利用する場合、従業員が負担する費用の助成その他これに準ずる制度

厚生労働省「平成26年度雇用均等基本調査(確報)」によれば、上記の導入割合は、従業員500人以上の企業で94.2%、100~499人で89.7%、30~99人で79.3%とほぼ8割を超えます。しかし、30人未満では54.9%と大幅に減少します。

また、各制度の導入割合は「短時間勤務の制度」57.5%、「時差出勤の制度」27.6%、「フレックスタイムの制度」11.5%、「介護に要する経費の援助措置」3.2%です。

介護休業・休暇の利用者は少なく、介護離職した人は年間9.5万人

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在宅勤務が可能になれば、介護と両立ができる

介護休業・休暇の利用はなかなか進みません。介護をしている雇用者のうち、平成24年度に介護休業を取得した人は3.2%(男性3.5%、女性2.9%)、介護休暇は2.3%(男性2.5%、女性2.2%)に過ぎません。

一方、介護離職した人は9.5万人(平成23年10月~平成24年9月)に上ります(以上、総務省「平成24年就業構造基本調査」より)。

仕事と介護を両立している人はどんな支援を利用しているのでしょうか。厚生労働省「平成25年度 仕事と介護の両立モデル~介護離職を防ぐために」の8事例によると、トップは公的介護保険のケアサービスです。これをフルに利用し、有給休暇やフレックスタイム制度、在宅勤務、短時間勤務などを組み合わせています。介護休業の利用はゼロ、介護休暇の利用は1人です。

なぜ介護休業・休暇制度は利用されないのでしょうか。理由としては、介護休業・介護休暇制度が育児休業制度ほどには知られていないことや、申し出の手続きの煩雑さ、使い勝手の悪さ、減収になること、などが考えられます。

企業独自の支援策は国の制度を超えている

仕事と介護の両立支援制度の利用が低いことから、厚生労働省の研究会は平成27年7月に、次のような項目の見直し案をまとめました。

1. 介護休業の分割取得
2. 介護休暇の取得を半日や時間単位に
3. 所定労働時間の短縮措置等の拡充や義務化
4. 残業を免除する制度の創設
5. 要介護状態と対象となる家族の基準の緩和

厚生労働省はこれをもとに検討を進め、2016年の通常国会に育児介護休業法の改正案を提出する予定です。

一方、日本を代表する大手企業では、育児介護休業法をはるかに超える介護休業・休暇等の制度をすでに導入しています(以下、日本経済団体連合会「平成24年 企業のワーク・ライフ・バランスへの取組み状況」より)。

●小松製作所
介護短時間勤務の期間が休業と合わせて最大3年間。介護休業手当も支給される。

●パナソニック
介護休業は365日まで。介護短時間勤務制度が1095日まで取得可能。

●三菱電機
介護休業は最長2年間で介護短時間勤務制度は最長3年間。

以上から、介護離職を防ぐ策として、「所定労働時間の短縮措置等を拡充し義務化すること」「介護休暇の日数を増やし、利用時間を1時間単位にすること」などが特に、そして早急に求められるのではないでしょうか。育児介護休業法改正案が、企業の後追いではなく追い越すものであることを願います。

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