マンション管理士試験/マンション管理士の試験・勉強法

マン管試験頻出テーマの攻略法「標準管理規約」

マンション管理士試験では、標準管理規約から例年4~5問必ず出題されています。区分所有法の定めとの相違点を押さえるだけでなく、標準管理規約に補足として付記されているコメント部分も漏れなく学習することが必要です。

村上 智史

執筆者:村上 智史

マンション管理士ガイド

マンション

標準管理規約も頻出テーマの1つ

標準管理規約(単棟型)は、マンション管理士試験で例年4~5問出題される重要テーマの一つです。区分所有法の場合、論点が複雑なため難問になりがちなのに比べると、本テーマは知っているかどうかで正解を導ける点で対応はしやすいでしょう。

管理組合は、区分所有法が定める範囲内であれば、総会決議を経て自らの管理規約を定めることが可能です。ただし、実際には法律通りの運用が必要な「強行規定」に該当するケース、法律が許す範囲内で規約で定められるケース、規約で自由に定められるケースの3種類があります。

したがって、区分所有法と標準管理規約の相違点に着目しながら学習を進め、混同しないよう注意する必要があります。

なお、標準管理規約では、各条文の定めの趣旨を補足する事を目的として国交省が「コメント」を付記しています。本試験では、このコメントからも出題されるので、熟読のうえ理解を深めておきましょう。

標準管理規約で狙われやすい重要な「コメント」

区分所有法との相違点については、受験対策用の基本書等でマスターしていただくとして、標準管理規約に付記されているコメント部分について注意すべき箇所を以下にまとめましたので、ご参考にしてください。

1) 敷地・専有部分等の共有
・雨戸や網戸も、専有部分には含まれない。
・敷地及び附属施設の共有持分は規約で決まるものではなく、分譲契約等によって定められる。

2)  専有部分の修繕等
・配管の枝管の取付・取替工事など共用部分内に係る工事も想定されている。
・特にフローリング工事の場合は、構造、工事の仕様、材料等によって影響が異なるので専門家の確認が必要。

3) 専有部分の貸与
・規約および使用細則を遵守する旨の誓約書を提出するのは貸与された第三者である。

4) 敷地及び共用部分等の管理
・原則として管理組合がその責任と責任において管理するが、バルコニー等の清掃や窓ガラスが壊れた場合の対応など、「通常の使用に伴う管理」は専用使用権者が行う。

5) 窓ガラス等の改良
・計画修繕による直ちに開口部の改良を行うことが困難な場合には、各区分所有者の責任と負担で行えるよう、細則をあらかじめ定める。

6) 使用料
・敷地及び共用部分等に係る使用料は、その管理に要する費用に充当するほか、修繕積立金として積み立てる。(特に機械式駐車場を有する場合には、管理費・修繕積立金と区分して経理できる。)

7) 長期修繕計画の作成(管理組合の業務)
・25年(新築の場合:30年)程度以上の計画期間で、概ね5年程度毎に定期的な見直しが必要。計画の作成または変更前に劣化診断(建物診断)を合わせて実施すること。
・その際、経費の充当については管理費・修繕積立金のどちらからでもよいが、修繕工事の前提とする診断は原則として積立金から取り崩す。

8) 役員:理事の数
・概ね10~15戸につき1名を選出し、最低3~最高20名程度とする。

9) 役員任期
・役員が途中で欠けた場合、補欠の役員を理事会決議で選任できると規約に定めることも可。
・業務の継続性を重視する場合、2年として半数ずつ改選とするのもよい。

10)総会の議決権
・特定の者に利害が及ぶような場合には、特定の少数者の意見が反映されるよう留意する。
・代理人の範囲を規約で定める場合には、区分所有者と利害関係が一致すると考えられる者に限定することが望ましい。

11)大規模修繕工事に関する総会の決議
・多額の費用を要する事項については、総組合員数及び議決権総数の過半数で決する旨規約に定めることができる。
・下記の工事については普通決議で実施可能。
a)建物の基本的構造部分を取り壊すなどの加工を伴わないバリアフリー化
b)基本的構造への加工が小さい耐震改修工事
c)防犯カメラ、防犯灯の設置等の防犯化工事
d)光ファイバー・ケーブルの敷設などで、共用部分の変更や躯体部分に関する相当程度の加工を伴わないIT化工事

12)理事会の会議及び議事
・理事に事故があり、出席できない場合、その配偶者または一親等の親族に限り代理出席を認める旨規約に定めることができる。

13)理事会の議決事項
・共用部分の軽微な変更及び狭義の変更行為(通常の利用、改良に関する行為)については、理事会の決議事項として定めることができる。

14)管理費等の徴収
・管理費等の督促及び徴収に要する費用としては、内容証明郵便などに要する実費及び事務手数料、支払督促申立等に係る印紙代、切手代などの実費等が含まれる。

それでは、次ページで過去問にチャレンジしてみましょう!

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