側弯症(そくわんしょう)とは

基本的に、からだが側方に角度10度以上曲がった状態を「側弯」といいます。側弯症は大きく「機能性側弯症」と「構築性側弯症」の2つに分けられます。

機能性は骨自体には問題はありませんが、痛みに対して逃避的な姿勢を取るなどして、二次的に側弯になっているものです。一方、構築性は骨自体の変形です。構築性では原因不明の特発性側弯症が約8割を占めます。

側弯症の事例

側弯症の症状を持つ16歳少女のX線写真
"Amanda-Scoliosis" by University of Utah Hospital - Radiology Department

特発性側弯症のうちほぼ8割が思春期に発症します。現在の研究では体内時計で重要な役割を果たすホルモンである「メラトニン」というホルモンが側弯症に関係していると言われています。

また、慶應義塾大学の理化学研究所などによって疾患のかかりやすさに関わる遺伝子も幾つか特定されており、遺伝や環境など多因子による椎骨(背骨の骨ひとつひとつのこと)の成長障害と考えられています。

いきなり側弯が起こることは少なく、胸椎が生理的弯曲(本来あるべき弯曲)である後弯から平らになることから始まると言われています。その後、徐々に側屈がおこり胸椎だけでなく腰椎などにも影響を及ぼし、側弯症に移行します。多くは胸椎右凸、腰椎左凸ですが、胸椎だけ、腰椎だけ、また稀に逆の凹凸の場合もあります。胸椎右凸が多いのは心臓の影響ではないかと言われています。

ドイツでは運動療法が保険適応

日本では、側弯症への運動療法の効果がまだ科学的には実証されていないということより、保険診療の適応にはなっていません。原因不明なために診断自体難しく、またそれに対する運動療法の効果判定はさらに難しいというのが現状です。今は保険適応ではないので病院に行っても運動療法を処方されることはありません。

残念ながら、側弯症に関しては効果云々よりも運動療法を受ける機会自体が日本ではほぼありません。正直、運動療法の効果を検証しようがない状態とも言えます。

一方海外に目を向けると、側弯症への運動療法が保険適応の国があるのです。ドイツです。特発性の好発年齢である思春期をターゲットとして、2~3週間の病院での合宿形式をとり、退院後自宅で自己管理ができるようにチームアプローチで運動療法を指導しています。

側弯症の世界の動向の図

側弯症の世界の動向

この運動療法は「シュロス法」といって、自らが側弯症であった理学療法士カタリーナ・シュロスによって1910年代の終わりに確立されました。

現在、シュロス法はイタリアなどのヨーロッパをはじめ、韓国やアメリカでも取り入れられています。私も2014年にシュロスセラピストになり、日々臨床経験を積んでおります。

背景にある制度や文化が違いますから、海外の現状をそのまま日本と比較することはできませんが、少なくとも同じ疾患に対し世界がどのような対応を取っているかは参考になります。

側弯症で意識すべき習慣

機能性と構築性側弯のどちらの場合でも共通して意識しておくべき点があります。その中で、やった方がいいこと、すべきことを大きくまとめると以下の6点です。

  1. 重力に負けず、背を伸ばすことを意識する
  2. 凹側(潰れいている側)を伸ばして広げる
  3. 重いものを持たない工夫をする
  4. 呼吸を十分にして肺と肋骨を広げる
  5. 寝方、立ち方、座り方が側弯を増悪しないように気を配る
  6. 関節の柔軟性を保つよう軽い運動をする

側弯症の方では、まずご自身の側弯のタイプを知ることが重要です。具体的に脊柱のどこが曲がっていて、どちらが凸で凹なのか。その上で、どの動きが側弯を強くするのか、または軽減させるのかを理解することです。

運動療法の目標は、現状を維持し側弯を悪化させないことです。構築性の場合残念ながら骨を変えることはできません。しかし、筋肉の使い方や姿勢を意識することで関節や椎間板への負担を減らし、加齢とともに起こる変形を予防することはできます。

現状では運動療法を受けられる機会は少ないですが、シュロス法の日本語訳が出版されましたので、書籍を通じて少しでも情報が届けられれば幸いです。


あなどれない幼少期の機能性側弯症

現在、日本での側弯症治療は基本的に構築性側弯症を前提に行われています。機能性側弯症に関してはヘルニアなどの痛みからの逃避姿勢が多く、どちらかというと希という捉え方です。しかし、私の臨床経験では、スポーツ動作などの偏った姿勢の繰り返しにより、幼少期は機能性だったが成長の固定とともに構築性に移行した方を多く経験しています。

このようなケースについて、現状ではほとんど知られていないまたは、追究されていない感じを受けます。側弯症について、より積極的な研究が進むことを強く願います。



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