ミハエル・ハネケVSデビッド・フィンチャー!
『ファニーゲーム』(1997年度作品)
別荘で楽しいバカンスを送っていた家族のもとに二人の青年が「卵をください」とやってくる。二人は何度も「卵を~」とやってきて、そして別荘で惨劇が起こるのです……。
97年度作品だけど、現代でも十分ありそうな犯罪映画。二人の青年は嫌なヤツを通り越して鬼畜と言ってもいいかも。何の落ち度もない家族が拉致されて、死の恐怖におびえるわけですから。
正直、逃げる隙はあったように思うのですが、暴力を振りかざしてその場を支配している者の前では、下手に動いたら殺されるという恐怖が先に立ってしまい、逃げることができないのです。それがわかるだけに辛いです。まるで犯罪の現場に居合わせているような嫌悪感! 観客は被害者が逆転をするサスペンスを期待するでしょうが、そうはいかないのがミヒャエル・ハネケ監督作。これほど人の神経を逆なでする演出はある意味凄いです。
ちなみにハネケ監督は役者を変えて2007年に『ファニーゲームU.S.A』という作品を作っています。被害者になるのはナオミ・ワッツとティム・ロス。どちらを見ても同クォリティですので役者で選んでもいいかもしれません。
監督:ミヒャエル・ハネケ 出演:スザンヌ・ロタール、ウルリッヒ・ミューエ、アルノ・フリッシュ、フランク・ギーリング
『ソーシャル・ネットワーク』(2010年度作品)
フェイスブックの創始者マーク・ザッカーバーグの青春時代を描いた映画であり、フェイスブック誕生の裏側を描いた映画でもあります。ハーバード大学の天才青年が、同大学の学生と始めた学内交流のサイト作成。これがフェイスブックの発端。でもこれが彼を有名にしながらも問題の火種になるのです。
この映画のザッカーバーグ、頭はいいけれど他人に対する配慮がない。だから女性にフラれるし、仲間ともめるのでしょう。やはり何かが欠けているとしか思えない。成功者はワンマンなものだと言う人もいるかもしれないけど、ただのワンマンじゃなく、かなり子供な一面があるように思います。自分の想いだけをしゃべり倒し、人の話を聞いているようで聞いていないのですから。
彼は自分に足りない物が何なのか気付いていない、それを教えてくれる人が周囲にもいなかったのです。今はどうかわかりませんが、この映画のザッカーバーグは悲しき嫌なヤツなのです。
監督:デビッド・フィンチャー 出演:ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャスティン・ティンバーレイク、アーミー・ハマーほか
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