エアープランツ(チランジア)の管理方法
エアープランツは多肉植物やサボテン同様に、あまり手間がかからない植物として人気を集めています。しかし「エアープランツ」という名称から、「水をあげなくても大丈夫!」という誤った認識を持ち、結果「カラカラのミイラ状態になってしまった」という苦い経験を味わった方も少なくないのでは?エアープランツにかぎらず、植物栽培の基本は自生地の環境に近づけてあげることです。チランジアの原産地は夜間に霧が立ち込めるような地域で、木々や岩肌に着生し、霧を吸収するように発達した植物であることを念頭に置いて管理しましょう。
【水やり】
エアープランツは水やりがキモ
普通の鉢植え植物の場合は、「鉢土が乾いたら、鉢底穴から流れ出るまでタップリと水やり」が基本となりますが、エアープランツの場合は主に「ミスティング(シリンジング)」と「ソーキング」と呼ばれる手法で水やりを行います。
・ミスティング
ミスティングとは、霧吹きを使って葉水を与えることです。頻度は、生長期の春と秋は週1~2回くらいを目安にたっぷりと行います。夏と冬は、週1回程度でやや乾燥気味に管理します。
ただし品種により水を好むもの過湿を嫌うものとあり、一様ではないという点では注意が必要です。
・ソーキング
ソーキングとは、ボウルやバケツなど水を張った容器に、エアープランツを4~5時間程度ザブンとつけ置く手法です。
ミスティングを行っていても、与えるミストが充分でなければ当然株は乾いてしまいます。ソーキングは、うっかり乾燥させてしまったとか、ミストの不足を補いたいときに行います。
ソーキング後、葉の付け根に溜まった水をそのままにしておくと腐らせる原因になるので、しっかり水気を切っておきましょう。なお、ソーキングは頻繁に行う必要はありません。生長期の春と秋であっても、月に一度くらいの補助的な水やりと考えましょう。長時間のつけ過ぎも枯れる原因になるので、ここも注意したい点ですね。
・水やりのタイミング
こちらも自生地の環境に合わせて夜に…というのが理想かもしれませんが、ガイドはあまりこだわらず与えています。もちろん出来るときには夜にミスティングしますが、「水やりは、夜でないと!」と凝り固まって水を与えるタイミングを逸し、結果乾燥させすぎてミイラになるよりはずっと良いと考えるからです。
【置き場所】
強光は避けて…
エアープランツの生育適温は20度前後です。降霜や低温は枯死の原因となるので、冬は屋内管理を基本とします。なお寒地の冬は、昼はポカポカ温かい窓辺も、日が落ちると途端に冷気に包まれます。窓辺からの冷気を遮断したり、置き場所を変えるなどの対策をしましょう。また冬の暖房機器や、夏のエアコンからの風が当たるような場所は避けましょう。
【肥料】
エアープランツは肥料が無くても生育しますが、「株を大きくしたい」、「花を咲かせたい」という場合は、生長期となる春と秋、ミスティングやソーキングの際に3000倍ほどに希釈した液体肥料を与えます。頻度も月に1~2度程度で充分です。希釈が濃いと肥料焼けを起こす場合がありますし、頻繁に肥料を与えることでかえって株が弱る原因になることがあります。
【購入と殖やし方】
購入の際は乾燥しきったミイラ状態になっていないか、過湿でブカブカになっていないかなど、株の状態をよく確認しましょう。通販の場合は実際に手にとって見ることができないので、ショップの評価など実績のあるサイトから購入しましょう。
エアープランツは、上手に管理すると美しい花を咲かせます。この花から種子を採ることもできますが、実生で殖やすのは難しいため、一般的に株元にできる子株を取って殖やします。
◆ポイント◆
- エアープランツは、「水やりが要らない」ではなく、「土が要らない」植物!
- 乾燥しすぎ、水やりしすぎ、どちらも枯れる原因!
- 「乾」と「湿」のメリハリをつけて、蒸れないように!
- 肥料は必要なときに、薄め、控えめ、ほどほどに!