女装するには事情がある女装男子映画
『お熱いのがお好き』(1959年度作品)ギャングの抗争に巻き込まれたバンドマン二人(ジャック・レモン&トニー・カーティス)が女ばかりの楽団に紛れ込み、ギャングを欺くために女装をするという名匠ビリー・ワイルダーの傑作コメディ。
キュートでポッチャリなマリリン・モンローに熱を上げたり、あまり上手とはいえない女装をしたり、テンポもよく、笑いもまんべんなく散りばめられているワイルダー映画。1959年というクラシック作品ですが、今見ても十分楽しめるのは、やはり演出と脚本&主演二人の上手さですかね。ドタバタだけど、下品じゃないところが魅力です。
監督:ビリー・ワイルダー 出演:ジャック・レモン、トニー・カーティス、マリリン・モンローほか
『トッツィー』(1982年度作品)
売れない役者のマイケル(ダスティン・ホフマン)が、仕事を得ようと女装をし、ドロシーとしてオーディションに行ったら合格! 彼は共演女優のジュリー(ジェシカ・ラング)に心惹かれていくけれど、彼女はマイケルを女性と信じて疑わず……。マイケルはどうする?
ダスティン・ホフマンは意外にも女装が似合い「こういう中年女性いそう」と思えるのがおかしい。また女装した彼(彼女)が、男にモテモテなのもさらにおかしい。好きな人には本当の気持ちを打ち明けられないのに。なんてイジワルな展開!
本当のことを言いたいけど言えない、そんなドロシーの気持ちは切なく、笑わせながらも泣きのツボはバッチリ抑えた映画なのです。
監督:シドニー・ポラック 出演:ダスティン・ホフマン、ジェシカ・ラング、テリー・ガー、ダブニー・コールマン、チャールズ・ダーニング、ビル・マーレイ
『ミセス・ダウト』(1993年度作品)
離婚して子供たちの親権を取られた声優のダニエル(ロビン・ウィリアムズ)は、元妻(サリー・フィールド)が家政婦募集の広告を出したのを見て、英国風の中年女性ミセス・ダウトに変身。子供たちに会いたい一心で、ダニエルであることを隠して、元妻の家の家政婦になるのです!
父親であることを隠して子供たちの面倒を見るミセス・ダウトことダニエルの親心。彼は声優なので、女性の声を出すのもお手の物っていうのがいいですね。見た目も英国風のおばちゃんになりきっていて、ロビン・ウィリアムズは芸達者だなあ……としみじみ。「パパだよ」と言えない辛さがときどきキュっと切なく感じられ、ロビンの寂しさを内包した笑顔には心わしづかみにされますよ。
後半はダニエル本人とミセス・ダウトを行ったり来たりする忙しさで爆笑を誘いつつ、ハイライトのシーンで大感動! ロビン・ウィリアムズの魅力たっぷりの映画です。
監督:クリス・コロンバス 出演:ロビン・ウィリアムズ、サリー・フィールド、ピアース・ブロスナン
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