解約返戻金の扱いは契約内容によって異なる
医療保険やがん保険を解約して受け取った返戻金は、基本的に非課税扱いではありません。この場合、保険料負担者が受け取った時と、それ以外の人が受け取った時で扱いが異なります。■契約者と保険料負担者が同一の場合
個人契約で保険料を負担した人が解約返戻金を受け取る場合は、一時所得として所得税・住民税の対象になります。
一時所得の計算は、{(解約返戻金-支払った保険料)-50万円}×1/2で求めます。計算式をみてわかるように、解約返戻金が支払った保険料よりも少ないか多くても50万円までなら、計算の答えは0円になるので、結果として税金はかかりません。
※同じ年に他の一時所得もある場合は合算する必要があります。具体的な計算は税理士や税務署へ確認してください。
医療保険やがん保険の契約では、解約返戻金が支払った保険料を50万円以上も上回るケースはほとんどありません。契約者と保険料負担者が同一の場合は、解約しても税負担の心配はあまり必要ないと言えます。
なお、契約時から5年以内に解約した場合は一時所得ではなく源泉分離課税の対象になりますが、この場合も、5年以内に解約返戻金が支払った保険料を上回ることは、現存する医療保険やがん保険では皆無に等しいです。
■契約者と保険料負担者が異なる場合
贈与税の支払いどうするのよ!?
贈与税の計算は、{課税価格-基礎控除額(年間最高110万円)}×税率-累進税率控除額で求めます。例えば、解約返戻金額が100万円なら税額は0円、200万円なら9万円、300万円なら19万円となります。贈与税は1月1日から12月31日までの1年間での計算になり、解約返戻金以外にも贈与されたものがあれば、合算して計算します。相続時精算課税制度などについては税理士や税務署へ確認してください。
契約者は妻にして、保険料は夫が負担しているような保険を解約して、妻が解約返戻金を受け取った場合は、夫から妻への贈与とみなされます。特別な事情がない限り夫の口座へ返戻金を振り込んでもらうよう注意が必要です。
最近の医療保険やがん保険は掛け捨てタイプが多く、解約返戻金は全くないか、あっても数十万円程度の場合がほとんどです。解約して税金を払うようなことはほとんどないはずですが、解約返戻金は給付金と違って非課税扱いではないことは覚えておくと良いです。知らずに税金を払うようなことにならないよう気を付けましょう。
契約者が法人の場合は扱いが異なります。誰か教えて!医療保険・がん保険の経理処理を参考にしてください。
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