医療保険やがん保険に加入すると、支払った保険料の一定額については生命保険料控除として所得控除でき、年末調整や確定申告をすることによって税負担を少し軽くすることができます。しかし、生命保険料控除の対象となるのは個人保険であり、法人が契約者となって加入するような保険は対象になりません。法人は支払った保険料を違う形で経理処理する必要があり、一定の条件にあてはまっていれば、法人が支払った保険料を経費にすることも可能です。

法人が支払ったがん保険の保険料の取り扱いや、法人が給付金を受け取った場合、保険契約を解約した場合等の経理処理についてみていきましょう。

※ここではがん保険にかかわる法人の一般的な経理処理について説明しますが、医療保険も契約形態等が同じであれば、基本的に同じ取り扱いになります。ただ、設定によっては処理方法が異なる可能性もありますので、がん保険や医療保険の具体的な税務上の取り扱いについては、保険会社や顧問税理士、税務署等へ確認してください。

一部損金算入が可能ながん保険

がん保険は当初5割期間は1/2損金計上

がん保険は当初5割期間は1/2損金計上

平成24年4月27日に、法人が支払うがん保険(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて法令解釈通達があり、以後の契約については取り扱い方が変わっています。

法人が契約者、役員または使用人が被保険者となり、保障内容が「がん診断給付金」「がん入院給付金」「がん手術給付金」「がん死亡保険金」のようながん保険(保険期間終身/保険料払込期間終身)では、下記のように取り扱います。

■法人が保険料を支払った時
加入時から105歳までを保険料の計算上の保険期間とし、前期(1年未満の端数は切り捨て)は、保険料の1/2を資産計上し、残りを損金の額に算入する。

仕訳例……借方 1/2前払保険料、1/2支払保険料/貸方 現金または預金

後期(保険期間のうち前払期間を経過した後の期間)は、支払保険料は全額損金算入とし、前期に資産計上してきた前払保険料部分も、取り崩して損金の額に算入(後期期間で按分)できます。

仕訳例……借方 支払保険料/貸方 現金または預金と前払保険料

イメージとして、例えば年間の保険料が40万円なら、前期は借方(前払保険料20万円、支払保険料20万円)、貸方(現金40万円)となり、後期は借方(支払保険料40万円)、貸方(現金40万円、前払保険料20万円)のようになります。

なお、解約しても解約返戻金がない(保険料払込期間が有期で、保険料払込期間が終了した後に僅かな解約返戻金等がある契約を含む)がん保険の場合は、例外的に保険料を全額損金算入することができます。個人事業主の場合は、雇っている人を被保険者にする場合のみ、上記のような取り扱いになります。


次のページでは給付金や解約返戻金等を法人が受け取った場合の経理処理について説明します。