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ニッポン放送・吉田尚記アナが語る、ラジオの面白さ(2ページ目)

テレビやネットの台頭で人気が低迷したラジオ……しかし、その復権がにわかに囁かれている。本記事では、ニッポン放送の人気アナウンサー、吉田尚記氏に直撃取材を敢行。長きにわたって深夜の生番組『ミュ~コミ+プラス』でパーソナリティをつとめる彼に「ラジオとは何か」、直球の質問をぶつけた。年間200以上のイベントに足を運ぶ驚異の「現場好き」が打ち返してきた答えをあますところなくお届け!

執筆者:All About 編集部

テレビの世界で天下を取るためには“ラジオ”が必要

――吉田さんが仰る“ラジオは少数派を認める”という雰囲気は、お笑い芸人の方たちがテレビとラジオではまったく違う顔を見せることにも関係していそうです。
吉田 それはメチャメチャあると思いますね。ナインティナインのオールナイトニッポンを担当していたディレクターの方がよく、「ナイナイが同世代のお笑いの人に比べて、ちょっと特別に見えるのはなぜだと思う?」という話をしていたんですね。ちなみに、どうしてだと思います?


――どうしてでしょうか……?
吉田 なぜナイナイがメジャーに見えるのかを考えたことはありますか? デビューした時期もほとんど同じで、テレビのレギュラー本数もそこまで差はない芸人さんは他にもいたのに、です。にも関わらず、世間の認識として特別な存在に思われるのはなぜなのか。そのディレクターいわく「ナイナイは“伝説的なオールナイトニッポン”を持っているから」ということなんです。

ナイナイに限らず、じつは芸能界のトップにいる人間は全員、伝説的なラジオ番組を持っている。ビートたけしさん、タモリさん、さんまさん、所ジョージさん、笑福亭鶴瓶さん……みんなかつて、伝説的なラジオ番組を持っていたんですよ。ただし、ラジオだけで天下を取ったとしても何かが起きるわけではない。言うなれば、ラジオはスポーツにおけるカップ戦のようなものかもしれません。ラジオというカップ戦で勝利を挙げないと、芸能界のトップには行けない……という仕組みですかね。最初に話した小泉今日子さんだって、当時大ブレイクした背景にはラジオの影響が少なからずあったはず。最近のイケメン俳優にも同じことが言えて、数多くいるイケメン俳優のなかで小栗旬くんがちょっと上にいる感じがするのは、ラジオをやっていたからだと思うんですよ。


――確かに、テレビですごい活躍しているのに、深夜ラジオで延々とくだらない話をしてくれる芸能人は信頼できます(笑)。
吉田 ラジオを通じてリスナーが何を感じるかというと、出演者の覚悟というか「この人は素が見えることが怖くないんだな」という雰囲気が伝わってしまうんだと思います。正直、ラジオって儲からないんですよ(笑)。先ほど話したように、ラジオをバネにして芸能界で大儲けした人はたくさんいますけど、ラジオだけで儲けた人は、歴史上ひとりもいません。それは原則的に限られた広告料で売っていくしかないところも大きい。数十年も続いているメディアなのに、です。だから、滅私奉公みたいなものを求められるところがあって、そんな状況でも真摯に向き合う芸能人はちゃんと評価されるんじゃないでしょうか。
ラジオは芸能界におけるカップ戦である、という持論を展開。

ラジオは芸能界におけるカップ戦である、という持論を展開。



ラジオはなぜ面白い?

――ラジオは生放送が主体というのも特徴のひとつだと思います。テレビ番組はほとんどが収録で編集もされていますが、ラジオではそういったところに期待できない。だから出演者の真の実力が出るというか。
吉田 面白いラジオ番組と面白くないラジオ番組の差は明らかにありますよね。まあ、つまらないラジオはふつう聴かないか(笑)。ちなみに生放送では、自分でもその先に何が起きるかわからないことがほとんど。今日もこのインタビューの後に『ミュ~コミ+プラス』(毎週月曜~木曜、24:00~24:53)の生放送があるわけですけど、そこで何を話すは決まっていませんから。番組開始数分前まで何も決まっていないことだってよくありますよ。


――それは、番組が始まるとスイッチが入ったように言葉が降ってくるんですか?
吉田 降ってくるというよりは……今回のインタビューに近いかもしれません。大きなくくりでは話すことが決まっているけれど、それ以上はないという感じかな。逆に、生放送はそれくらいの心構えじゃないとダメなのかもしれない。たとえばその日の気温であったり、直前に起きたことによって話す内容が全部変わってしまいますから。


――ラジオの面白さとは、結局なんなのでしょうか?
吉田 ひとつ言えるとしたら、ラジオ業界でよく言われている「声は人なり」という考え方がある。ひと声聞いただけで、その人が本当のことを言っているか嘘を言っているかは、なぜかバレてしまうということ。自分自身が「いま、本当に本気でしゃべっているな」と感じたときはやっぱりちゃんと伝わるし、逆にテキトーに喋ったことはリスナーもテキトーに受け取っている感じがすごくする。“主観の共有感”が、ラジオ番組の根源的な面白さかもしれませんね。

後編はこちら

<番組情報>
◆ニッポン放送『ミュ~コミ+プラス』
◆放送日時:毎週月曜日~木曜日 24:00~24:53
◆出演:吉田尚記、松井玲奈(月曜アシスタント)、田所あずさ(火曜アシスタント)
◆番組HP:http://www.allnightnippon.com/mcplus/
◆番組Twitter:https://twitter.com/mc1242
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