妊娠中の食事/妊娠中の食事基礎知識

授乳中・妊娠中にマグロやメカジキを食べてよい?

水銀が含まれているという理由で、授乳中にマグロやメカジキ、キンメダイを食べても大丈夫か不安に思う人もいるでしょう。厚生労働省が出している通達を元に、その疑問に答えます。

高祖 常子

執筆者:高祖 常子

子育てガイド

妊婦さんや授乳中のママが注意すべき魚とは

マグロのお刺身が大好き!という妊婦さんも多いのでは。

マグロのお刺身が大好き!という妊婦さんも多いのでは。

以前、「厚生労働省からメカジキやキンメダイなどの魚の食べ方についての注意事項という通達が出されている」という記事をアップしましたが、「私のように授乳中のママはどうなんでしょうか?」というご質問をいただきました。

平成15年に厚生労働省から通知が出されましたが、その後平成17年に「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて」が出されています。

なぜ見直されたのかというと、「国際専門会議(JECFA)において、発育途上の胎児を十分保護するため、暫定的耐容量(PTWI)3.3μg/kgから1.6μg/kgに引き下げられた」ことによります。より厳しい基準になったということです。

以下、妊婦に関連する事項について、説明します。

妊娠中、魚介類の食べ方をどのように注意したらいい?

魚介類は、健康な食生活を営む上で重要な食材です。多くの魚介類は、特定の地域に関わりなく、微量の水銀を含有しています。含有量は一般的に低いため、健康に害を及ぼすということではありません。「妊娠している方または妊娠している可能性のある方(以下「妊婦」という)」は、特に水銀の悪影響を受けやすいと考えられるために指針が出されました。

「魚介類は良質なたんぱく質を多く含み、EPA、DHA等の高度不飽和脂肪酸がその他の食品に比べ一般に多く含まれ、また、微量栄養素の摂取源である等重要な食材です。今回の注意事項の見直しが、魚介類の摂食の減少につながらないよう正確な御理解をお願いします」と書かれているとおり、心配のあまりに、魚介類を摂取しないことは逆に健康への悪影響が心配されます。目安を確認し、過度に接種しなければ大丈夫です。

授乳中も、魚介類に注意すべき?

母乳を介して乳児が摂取する水銀量は低いとされています。授乳中の母親は注意事項の見直しの対象になっていません。

妊娠中に食べていい量の目安は?

以下のように摂取量の目安が示されています。お家ごとの食生活によりますが、キンメダイ 、メカジキ、 クロマグロ、メバチ(メバチマグロ)あたりが、一般的によく食べられる魚類と思います。これらは回約80g(週1回以内)を食べる分には健康や胎児への影響はないとされています。

●妊婦が注意すべき魚介類の種類と摂取量(筋肉)の目安

・1回約80gとして妊婦は2カ月に1回まで(1週間当たり10g程度):バンドウイルカ
・1回約80gとして妊婦は2週間に1回まで(1週間当たり40g程度):コビレゴンドウ
・1回約80gとして妊婦は週に1回まで(1週間当たり80g程度):キンメダイ 、メカジキ、 クロマグロ、メバチ(メバチマグロ)、 エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ
・1回約80gとして妊婦は週に2回まで(1週間当たり160g程度):キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ

注意事項にある魚介類を食べ過ぎてしまったら?

1回または1週間当たりの魚介類の摂食が、体内の水銀の濃度を大きく変えるものではありません。食べ過ぎた場合は、翌週の食事で量を減らすなどの工夫をしましょう。

ツナ缶も食べると良くないの?

「マグロの中でも、キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶詰については、水銀含有量が低いことから、妊婦であっても通常の摂食で差し支えありません」とのことです。バランスよく食べましょう。

マグロを食べたけれど、妊娠に気づくのが遅れて心配…

メチル水銀は胎盤を経由して胎児に取り込まれます。しかし、胎盤の形成は一般的に妊娠4カ月であること、体内に取り込まれた水銀は代謝、排泄され、その体内に取り込まれた量が半分にまで減少する期間は約2カ月であるため、妊娠に気づいた段階から水銀の摂取量をコントロールすることで一定の効果が期待されると考えられます。

要は心配し過ぎず、妊娠に気づいた時点から、基準の摂取量を超えて大量に食べ続けることがなければ心配ありません。「一般に体内の水銀濃度は髪の毛で測定しますが、妊婦であっても髪の水銀濃度等を測定することは必要ない」と、指針にも示されています。

※詳しくは「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項の見直しについて(Q&A)」(厚生労働省)をご覧ください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※妊娠中の症状には個人差があります。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。体の不調を感じた場合は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。

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