ミュージカル/注目のミュージカルレビュー・開幕レポート

熱狂の『天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)』(2ページ目)

現在、爆発的な人気を集めている来日版ブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)』。ウーピー・ゴールドバーグ主演の映画が有名ですが、ウーピー自身がプロデュース、アラン・メンケンが音楽を書き下ろし。ミュージカルとしてより心に迫る作品となりました。デロリス役ケリッサ・アリントンと修道院長役マギー・クレノン・リーバーグにインタビュー。人気の秘密に迫ります。

三浦 真紀

執筆者:三浦 真紀

ミュージカルガイド


Cast Interview ケリッサ・アリントン&マギー・クレノン・リーバーグ
宣伝写真

右がデロリス役ケリッサ・アリントン、左が修道院長役マギー・クレノン・リーバーグ


デロリスとシスターたちは
変身といっていいくらいに変化する

——ケンタッキー州レキシントンでお会いして以来ですが、すごい人気ですね!チケットもほぼ売り切れ!
ケリッサ 噂では聞いていたけど、すごいわね。感動しました。
マギー たくさんの人がこの作品を大好きになるはず。私たちも贈り物をいただいている気分です。去年の9月からツアーが始まり、今回はひとつの場所に3週間滞在できるなんて、とても恵まれています。3日間同じ劇場にいられたら長いほうで、1日やって移動ということも多いの。これまでは1週間が最長でした。だから東京に3週間もいられるなんて、引っ越してきた、家に帰ってきたみたいな気分なのよ。

——ニューヨークでプロデューサーのウーピー・ゴールドバーグに話を伺ったら、デロリスは特別な役だから、若い女の子たちに体験させてあげたいとおっしゃっていました。デロリスはどんなところが特別な役だと思いますか。
ケリッサ デロリスはとても複雑なキャラクターで、一回自分の中に入ったら離れられず、多くの学びがあるの。舞台上で新鮮さを失わないこと、歌、踊り、スタミナとペース配分を考えて演じなければいけないこと。何をやるべきか、何をやらないべきかを考えること。たとえば自分の準備にしても、何を食べるか、前日何時に寝るか、自分を厳しく節制しなければいけません。それだけスタミナが必要な役なんです。もちろん主役ですから、カンパニーのリーダーでなければいけません。とても大変な役割ですが、この経験を自分の糧として活かしていきたいわ。

——ケリッサはデロリスに似てきたところはある?

ケリッサ 自分の意見を怖がらず、口に出すことができるようになりました。

——まさに「Raise Your Voice」ですね。

ケリッサ そうね。
マギー デロリスは知性もあり、個性も強い。すべて自分に与えられた挑戦に対して、真摯に向かい合い、最善を尽くして克服します。本人が思っているよりも、しっかりした強さを持っている女性なのではないかしら。

——修道院長もデロリスと出会い、変わってゆきます。

マギー この物語の女性たちは、ストーリーが進むにつれ、変身といっていいくらいに変化します。それがこの作品の醍醐味。こんなに長い心の旅を作品の中で辿ることができる。素晴らしいの!
修道院長は登場時、閉じこもっていて受け入れようとしない、辛抱強く堪えようともしない、実に残念な人。仕切り屋で、冷たいところもあって、この世には自分のやり方しかないと思っている。そういう人がデロリスと出会うことで、奇跡を目の当たりにします。心が柔らかくなり、オープンになり、愛情が溢れてくる。いろんなことを受け入れられるようにもなります
デロリスも修道院長も最後には成長し、自分の信じるものが揺るぎないものになります。大きな山が2つ、ドーンとあったところが、ひとつになる。素晴らしいことです。
宣伝写真

シスターたちに歌を教えるデロリス。(C)渡部孝弘


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