セレンゲティの動物たち
朝もやの中のバッファロー。草食動物は臆病ゆえ近寄るとしばしば盲目的に突っ込んでくるという。そのため肉食動物以上に危険とも
ゾウやバッファローのような巨大な動物は歩いているだけで大迫力だし、ライオンやヒョウのような肉食動物の身体は本当に美しい。特にヒョウやチーターの歩く姿。肩のたくましさ、腹にかけての曲線美、重心は低く大地をしっかり踏みしめる尻から後ろ足にかけての筋肉群。凪の海のように、力を内に秘めるその姿は究極の機能美だ。
装甲がとてもかっこいいサイ
彼らが恐れるといえば意外なのがカバ。特に川とカバの間に立ち入ったり、船でカバのテリトリーに入ったらまず助からないのだそうだ。一説では動物による死者でもっとも多いのがカバによる犠牲者なのだという。
ビッグ5以外にも動物は数多く、キリン、シマウマ、ガゼル、エランド、トピ、ヌー、カバ、ワニ、チーター、ハイエナ、ジャッカルなど、哺乳動物だけで60種を超える。
セレンゲティで生命を感じよう
インパラを食べるチーターの親子。地上最速の健脚を活かして50%といわれる高い成功率を誇る狩りの名手 ©リゾートアンドサファリ
マサイキリンの親子。動物たちはこのようにいつも家族ですごす
そんな子供でも襲わないと肉食動物たちは自分たちの子供を育ててはいけない。植物たちは彼らに食べられないと土地を豊かに保っていかれない。そうやって命のつながりがサバンナという生態系を守り、サバンナがまた一つひとつの命を育んでいく。
しかしながら現在セレンゲティの多くの野生動物が絶滅の危機に瀕している。たとえばチーターの個体数は5,000~7,000と見積もられているし、チーターのみならずライオンもヒョウもサイもゾウもハイエナもイノシシもシマウマもキリンもIUCN(国際自然保護連合)によって作成されたレッドリストに記載され、絶滅を危惧されている。
絶滅は単に種の消滅を意味するだけでなく、他の動物に絶滅の連鎖を引き起こしてサバンナという環境の破壊につながり、サバンナの破壊は周辺地区の環境をも変え、やがて地球規模の変化へと移行する。同時に、他の地域の環境破壊がもたらした地球環境の変化がサバンナに影響し、こうして自然環境はそれぞれが影響を与え合いながら予測できない形で書き換えられていく。