イタリア/カプリ島他南イタリア

イスキア島の絶景! 映画監督ヴィスコンティの別荘

イタリアを代表する偉大な映画監督、ルキーノ・ヴィスコンティのイスキア島の夏の別荘「ラ・コロンバイア」(現・記念館)と、その隣りにある広大な森のような敷地にあるラグジャリーホテル「メッツァトッレ」の紹介です。

河村 英和

執筆者:河村 英和

イタリアガイド

イスキア島にあるヴィスコンティの隠れ家「ラ・コロンバイア」

Villa La Clombaia

ホテル「メッツァトッレ」の広大な庭から小さく彼方にみえるヴィスコンティの白亜の別荘「ラ・コロンバイア」 (c)Ewa Kawamura


Villa La Colombaia

ルキノ・ヴィスコンティのイスキア島の夏の別荘「ラ・コロンバイア」 (c)Ewa Kawamura

カンパーニア州を代表するリゾート地のひとつイスキア島。この美しい火山質の島の北西、フォリオ地区には、20世紀イタリアを代表する偉大な映画監督ルキーノ・ヴィスコンティ(Luchino Visconti、1906-1976)が、夏の休暇を過ごした別荘、ヴィラ・ラ・コロンバイア(Villa La Colombaia)があります。現在内部は、ヴィスコンティ記念館(Museo Luchino Visconti)として一般公開されています。広大な丘陵地にあるザロの森(Bosco di Zaro)の中の高台の敷地に建っていて、そこからの眺望はまるで鳥になったか、天国にいるかのよう。

ヴィスコンティが見た絶景に息をのむ

Finestra La Colombaia

ヴィスコンティの夏の別荘ヴィラ・ラ・コロンバイアの窓からみえる絶景 (c)Ewa Kawamura


Museo Luchino Visconti

往時の家具が残るヴィスコンティ記念館の内部 (c)Ewa Kawamura

なんという贅沢な時間を、ヴィスコンティはここで過ごしていたのでしょう! ヴィスコンティが一目ぼれしたというこの家は、かつてイスキア島出身の文筆家ルイージ・パタラーノ(Luigi Patalano、1869—1964)の別荘でしたが、1938年にファッシーニ男爵の手に渡り、1950年代にヴィスコンティの所有となりました。19世紀末に建てられた城塞風のネオゴシック様式の建物で、内部のヴォールト天井のカーブも尖った形状で統一されています。毎年夏になると、監督はここで寵愛するヘルムート・バーガーと蜜月を過ごし、多くの友人たちを招き、内装はお気に入りのインテリアデザイナー、ジョルジョ・ぺス(Giorgio Pes、1931-2010)に頼んで一新させました。

Hotel Mezzatorre dalla Colombaia

ヴィスコンティの別荘「ラ・コロンバイア」から見下ろすホテル「メッツァトッレ」 (c)Ewa Kawamura

テラスにはソファーと犬の像を幾つも並べ、内部にはクリムトやマティスの絵画、アールヌーヴォーの花瓶などを飾っていましたが、現在は一部の家具が残るのみ。ヴィスコンティが使っていたという屋外エレベーターは、廃墟となり放置されています。監督亡き後、建物は荒れるにまかせていましたが、1990年にフォリオ市が買い上げ、記念館として再生されました。ここでは、いわゆる住所らしい住所がなく、建物の名前がその代り。最寄のバス停から車道に面したメッツァトッレの門をくぐってから、木立のなかの細道を通りここまで到達するには、じつは徒歩で40分近くかかります。

ヴィスコンティの気分になれる究極の高級ホテル「メッツァトッレ」

Hotel Mezzatorre

ホテル・メッツァトッレの本館は古い見張り塔に遡る (c)Ewa Kawamura


Hotel Mezzatorre

チェックインはまず門の近くのこの建物で (c)Ewa Kawamura

ですから、ヴィスコンティ記念館「ラ・コロンバイア」を訪れるのに一番簡単で便利な方法は、疑いもなく、すぐ隣りにあるホテル・メッツァトッレ(Hotel Mezzatorre)に一泊することです。タクシーでホテルにチェックインしてから、ゆっくりヴィスコンティの別荘や、ホテルの敷地内の広大な森を散策するのがおススメです。このホテルの本館の建物も、19世紀末より、さきのラ・コロンバイアを買った詩人パタラーノが別荘として所有していた一時期がありました。

建物はかつてスペイン・アラゴン家統治時代の見張り塔だった

Hotel Mezzatorre

ホテル「メッツァトッレ」の本館内のサロン (c)Ewa Kawamura


Hotel Mezzatorre

離れの客室のテラスの一例 (c)Ewa Kawamura

ホテル・メッツァトッレの本館の建物は、16世紀スペイン・アラゴン家統治時代の古い見張り塔に遡ります。屋根のパラペットは銃眼になっていて、この凸凹状の銃眼デザインは、ヴィラ・ラ・コロンバイアにも踏襲されました。外壁の色は、ナポリやカンパーニア州内の建築の外壁でよくみられる独特の淡い赤レンガ風の赤色です。この本館には一部の客室と公共のサロンがあり、ほとんどの客室は敷地の広大な森のなかに点在する離れのなかにあります。

岬と森がまるごとホテルの敷地になっている

Hotel Mezzatorre

ホテル・メッツァトッレの敷地内の眺めのよい散歩道 (c)Ewa Kawamura


Hotel Mezzatorre

こんな森のなかに離れの客室が点在しています (c)Ewa Kawamura

このホテルの醍醐味は、岬と森がまるごとホテルの敷地となっていて、観光シーズンのイスキア島の喧騒から隔絶された別天地が楽しめることです。ホテルは二つの町、フォリオとラッコ・アメーノの中間ぐらいの位置にあり、ラッコ・アメーノとホテルを往復するシャトルバスサービスもありますが、ここでは、ホテルの敷地から一歩も出ずに大自然とホテルライフを楽しむほうがよいでしょう。

プールも海水浴も両方楽しめる!

piscina e mare

ホテル・メッツァトッレのプールと海 (c)Ewa Kawamura


Hotel Mezzatorre

ホテル「メッツァトッレ」の海水浴場 (c)Ewa Kawamura

ホテルでは専用プールのほか、すぐその下の海でも海水浴ができるようになっています。この海はプライベートボートをもっている人か、ホテルの宿泊客しか近づけないので、地中海の太陽と静寂のなかで心ゆくまで、海水浴が満喫できるのです。もちろんプールサイドには、美味しい伝統料理のカジュアルレストランもあります。また朝食と夕食には、別棟に上品な雰囲気のレストランが併設されています。

朝食と夕食はエレガントな雰囲気で

Hotel Mezzatorre

ホテル・メッツァトッレの上品で爽やかなレストラン (c)Ewa Kawamura


Hotel Mezzatorre

ホテル・メッツァトッレの客室の一例 (c)Ewa Kawamura

ホテルの格付けは5つ星、リーディング・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド加盟店で、ここは疑いもなく、イスキア島一素晴らしい最高級ホテルです。

<DATA>
■ Museo Luchino Visconti – Villa La Colombaia
開館時間:10:00–13:00 / 16:00–20:00(月曜は休館)
場所:ホテル・メッツァトッレの隣り

Hotel Mezzatorre dal mare

海からみたホテル・メッツァトッレ(左)とヴィラ・ラ・コロンバイア(右上) (c)Ewa Kawamura

Mezzatorre Resort & Spa(ホテル・メッツァトッレ・リゾート&スパ)
住所:via Mezzatorre, 23, 80075 Forio d'Ischia NA
TEL:+39 081 986111
料金:370ユーロ~
アクセス:最寄の港はフォリオまたはラッコ・アメーノですが、いずれの場合もタクシーが必要なので、タクシーと船の本数の多いイスキア・ポルトのほうが時間帯によっては便利。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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