ジャック同士とジャック・ドーシー
ガイド:では、サテライトヤングの歩みを楽曲の時系列でお伺いします。結成のきっかけともなったデビュー曲の「ジャック同士」は、哀愁の80年代後半的サウンドやアレンジも好きですが、アートワークで持っていかれました。配信のみですが、実際に7インチのシングルを出して欲しい出来です。家に飾ります。僕が受けたイメージはちょっとやさぐれた80’s。例えば、三原順子(現在はじゅん子)と吉川晃司(笑)。アートワークへのこだわりについてぜひ知りたいです。
関根:
これまでのアートワークは絵美ちゃんが口説いてきた、「うえむらさん」が全て手がけています。80’sは下手するとパロディっぽくなりがちなんですが、自分たちはパロディじゃなくて、本気で80’sを普遍的なジャンルに昇華させたい。そういう意思表明が伝わる様なアートワークを意識してます。ナウなティーンにも「可愛い!カッコイイ!」と思ってもらえる様なものにしたくて。
絵美:
ジャック同士は生まれて初めて作ったナンバーです。アカペラで作ったド下手な歌が、どんどん肉付けされて、トラックが洗練されていく過程は、アドレナリンが出まくりました! ツイッターの創業者ジャック・ドーシーから名前をとって作詞作曲をしました。
ジャック同士 (SoundCloud)
ジャック同士 [Official teaser.] (YouTube)
80年代的熱狂とIT
ガイド:「ジャック・ドーシー」、パンチがあります!
続くは、超爽やかなパステル・ワールド「フェイクメモリー」。草野さんの聖子ちゃんへのオマージュは素敵です。関根さんのピンクのポロシャツの着こなしも負けないくらいインパクトあります(笑)。80年代へのオマージュにあふれていながらも、歌詞の方はSNSの世界。この二つの異時代のものを融合させようという発想はどこから来たのでしょうか?
フェイクメモリー (SoundCloud)
フェイクメモリー [Official teaser.] (YouTube)
絵美:
「ジャック同士」で隠喩したテーマをさらに、みんなが共感ができるレベルに落とし込んだのが「フェイクメモリー」です。
よく、いったことのないラーメン屋さん、もしくは行ったことない国の国民性だったり、完璧に言えることがありませんか?ソース元は不明だけど。それって情報社会の罠だと思ってそこを歌にしたかったんです。80年代の、皆がひとつの方向に向かって熱狂的になる感じと、現代のTwitterやFBなど、多くの人が同じ物を共有して、同じ様な感覚を抱いている現象が、どこか似ていると感じたのもありますね。私の周りのIT系の子たちって、「バイアウトした!」「ピボットした!」「マネタイズは?」とか、カタカナを叫ぶ傾向にあって。それがなんとなく、80年代のリンクしたっていうのが、ひらめきの始まりでした。バブル期ってわけわからないカタカナを叫ぶ歌謡曲が多いんですよ。
関根:
ただ、今と昔とを融合させている感覚はなく、YouTubeとかで古今東西、様々なスタイルが一望出来る時代に、自分たちが今最も「グっとくる」スタイルを選んでる、という感じです。なので、あまり異時代のものを融合させているという実感が無い。起点はあくまで現代の自分たちの感覚にあって、自分たちが今一番ホットに感じているサウンドや、トピックを選んで行った結果、こういう形になった、という感じがします。