80歳以上になっても歯を残せる人が増加
80歳以上になっても、自分の歯を残す8020運動が展開され、近年達成率が上がっています。
2015年6月に、日本歯科医師会のサイトで『健康長寿社会に寄与する歯科医療・口腔保健のエビデンス集2015』が掲載されました。同エビデンスでは、縦断調査(コホート研究)を中心に歯や口腔ケアと健康寿命に関連する様々な文献レビューを行い現時点の知見をまとめエビデンスの蓄積や具体的な対策などを体系化し示されています。
これまでも歯や口腔の健康や咀嚼機能と体全体の健康については、ご紹介してきました。詳しくは、
「気になるこどもの肥満。まず噛み方に注意」
「災害避難時に、お口のケアが重要なワケ」
「油ものより、肥満になりやすい? 恐るべし早食い習慣」
も、参考にお読みください。
歯の数や噛むことと、寿命の関係
今回ご紹介したいのは、歯の数や咀嚼機能と寿命との関係です。例えば、80歳の後期高齢者地域住民の咀嚼機能や現在歯数の保持が長寿につながるかどうかを、92歳までの12年間にわたりコホート研究で検討したところ、主に次のようなことが明らかになりました。- 咀嚼食品数からみた咀嚼機能が良好なほど長寿と考えられる。しかし、この関係には一部 ADL(日常生活動作)とBMIが影響している。
- 現在歯数が多いほど長寿の傾向にあるがその関係はそれほど強固ではない。この関係には ADL と喫煙が一部関係している。
- 80 歳住民という後期高齢者でも、現在歯数を保ち咀嚼機能を維持することが長寿に直接繋がる可能性が高い。