8割超が定年後も継続雇用されることを希望している
令和2年度に60歳になる人の特別支給の厚生年金(報酬比例部分)の支給開始は64歳です。60歳定年の場合には「改正高年齢者雇用安定法」(2013年4月施行)により、年金受給開始年齢の64歳までは継続雇用等で働き続けることができます。令和元年6月1日現在の60歳以上の常用労働者数は約387万人に上ります。
2018年6月1日~2019年5月31日に60歳定年に到達した人の84.7%が継続雇用され、希望したが継続雇用されなかったのはわずか0.2%でした(出典:厚生労働省「令和元年 高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)2019年11月22日発表)。
- 継続雇用された者 84.7%(84.4%)
- 継続雇用を希望しなかった者 15.1%(15.4%)
- 継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者 0.2%(0.2%)
高齢者の就労支援を行う(株)マイスター60が、2019年11月に再雇用制度で働く60~65歳の男性に対して行ったアンケート調査「人生100年時代、定年後の第二の働き方を調査」(有効回答500名)から、雇用形態や賃金、仕事への満足度などをご紹介します。
定年後の雇用形態、収入は?
定年後の雇用形態では、多くの企業は継続雇用制度を設けています。継続雇用制度には、再雇用制度と勤務延長制度の2つがあります。再雇用制度は、一旦定年退職をして、その後再雇用契約を結ぶもので、退職金が支払われます。雇用形態は、嘱託・契約社員・パート・アルバイトなどです。一方、勤務延長制度は、定年退職せずそのまま正社員として雇用されます。退職金は、勤務延長制度が終了し退職する時に支払われます。
●雇用形態:契約社員、が6割強
- 嘱託/契約社員 64.2%
- 正社員/正職員 32.2%
- パート/アルバイト 2.0%
- その他 1.6%
- 1年以内 48.6%
- 1年間を超える 38.6%
- 期間の定めはない 12.8%
・5割以上減少 39.8%
・3~4割減少 39.6%
・同程度 7.4%
・増加した 0.6%
●定年前に想定していた仕事環境のギャップ:ある程度満足、が6割弱
- 勤務日数・時間 満足14.2%/ある程度満足57.4%
- 仕事内容 満足9.4%/ある程度満足61.0%
- 満足 1.4%
- ある程度満足 24.2%
- どちらかというと満足していない 42.0%
- 全く満足していない 32.4%
「働き続けられればいつまでも働きたい」人が1.5割
次に、働くシニア60~64歳の男女200人と、65~69歳の男女200人に対するアンケート調査(人財サービスのアデコ(株)2019年11月実施)から、働く理由といくつまで働きたいと考えているのかをご紹介します。
●現在働いている理由(トップ3):生活のため、が5割超(複数回答)
- 現在の生活のためにお金が必要だから 51.3%
- 老後の資金のために貯蓄をする必要があるから 16.0%
- 社会とかかわっていたいから 14.3%
- 65歳まで 38.5%
- 70歳まで 36.0%
- 75歳まで 4.0%
●何歳まで働きたい(65~69歳):70歳まで、が4割弱
- 70歳まで 39.0%
- 75歳まで 24.5%
- 80歳まで 1.5%
この調査でも前出の調査と同様に労働時間、雇用形態、仕事内容、仕事への評価などについては7割超えが(どちらかと言えば)満足し、給与には5割超えが(どちらかと言えば)不満、と答えています。
70歳までの働き続けられる制度が整った
70歳まで働く機会の確保を企業の努力義務とする「改正 高年齢者雇用安定法」ほか関連法案が2020年3月に成立しました。2021年4月施行です。いよいよ70歳まで働くための制度が整いました。前出のアデコの調査から、企業側の雇用するシニアに対する条件トップ3をご紹介します。1位 業務に関する豊富な知識や経験がある 37.5%
2位 生産性が高い 31.3%
2位 健康である 31.3%
企業はシニアの雇用にメリットを感じており、高齢者の雇用拡大に前向きです。70歳まで働き続けるためには、これまで以上に健康維持とスキルアップへの努力が必要です。
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