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ボーナスは法律で決められているわけではない
そもそも、ボーナス(賞与)はどのように決められているのでしょうか。労働者を守る法律「労働基準法」では、賃金(給与)については、毎月最低1回、一定日に通貨で直接支払うなどと決められています。毎月支払われる給与は法律でしっかりと守られているのです。契約社員のボーナスは会社との契約内容が全て
ただし、会社が定める就業規則にボーナス支払いについて書かれていれば、会社はその決まり通りに従業員にボーナスを支払わなくてはいけません。正社員のボーナスはこのような状態です。
契約社員のボーナスの支給有無は会社との契約内容が全て
正社員は期間の定めがない労働者です。契約社員は、会社と契約期間を定めた労働契約を結んでいます。つまり、契約社員は会社と結んだ契約内容が全てです。契約内容にボーナスや賞与が入っているかが、ボーナスがもらえるかどうかの決め手です。就業規則にボーナスの支給が決められている場合なら、契約社員にもボーナスが出されるかもしれません。正社員限定での決まりであれば、契約社員には支給されなくても仕方がありません。雇用形態の区別なくボーナス支給が規定されているのなら、契約社員でもボーナスがあることになります。ただ、正社員の支給額と比べると、かなり金額は低くなることが多いです。
年俸制ではボーナス支給月に多くもらうことも
年俸制で契約している契約社員の中には、ボーナス支給月に給与が多くなるように設定しているところもあります。年収の14分の1や16分の1を毎月の給与として、ボーナス支給月に1カ月や2カ月分を加算して受け取るという具合です。厳密にいうとボーナスとはいえませんが、このように工夫している場合もあります。このように、契約社員ではボーナスをもらっているかどうかは、会社との契約しだいです。もらっている人は一体どれくらいの支給額なのでしょうか。
契約社員のボーナスは年間で平均35万円。正社員との差は?
表は、厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査(令和2年)」から大学卒の雇用形態別のボーナスを抜き出したものです。このデータは、短時間労働者を除いた一般労働者のうち、雇用形態として「正社員・正職員」、「正社員・正職員以外」という2種類にわけています。契約社員はこの「正社員・正職員以外」のほうですね。「正社員・正職員以外」の平均は35万7300円。年間支給額でこの値ですから、年2回の支給とすると1回あたり17万円程度。支給されるだけいいかもしれませんが、ボーナスというには寂しい金額ともいえます。
また、「正社員・正職員」の全体平均が130万2700円なのに対して、正社員・正職員以外は35万7300円。その差は100万円近くになっています。
年齢によるボーナス額アップはほとんどなし
年齢別の支給額をみてみましょう。正社員以外では、25歳から34歳で16万円ほど、35歳から44歳で22万円と少し増えてはいますが、45歳から49歳では17万円と年齢と支給額にはあまり関係がないようです。それに対して正社員は20歳代後半で80万円台となり、30歳代からは100万円台の大台に。その後も50歳代は200万円に届いています。金額が順調に上昇している様子がわかります。正社員とそれ以外の差はここにも出ていますね。
ただひとつ様子が異なるのが、正社員以外の60歳以降のところ。60~64歳で一気に76万1200円とあがっています。調査人数をみると、55~59歳は4万5000人程度だったのが60~64歳は18万人となっています。これは、定年退職後に正社員以外の待遇で再就職した人、再雇用された人が増えており、その結果平均額を押し上げているのでしょう。
ボーナス額の男女差、現役世代はあまりなし
正社員・正職員以外のボーナスでの男女差もみておきましょう。20歳代では男性のほうが高いですが、30歳代になると女性のほうが高いといったように、あまり男女と年齢で差が大きくは出ていません。年功序列などの賃金体系ではないからでしょう。ただ、55歳以降の男性は大きく伸びており、定年などで正社員から非正規になった人たちが平均値を大きくあげているようです。女性も60歳代は金額が増えており、いずれも定年退職組が金額を押し上げています。
正社員と正社員以外のボーナス事情はかなりの待遇差がみてとれます。契約社員のボーナス事情もあまり良いとはいえません。ご自身が契約社員の場合は、契約内容を確認して、ボーナスが支給されるかどうかをチェックしておきましょう。
●参考リンク(厚生労働省)
https://www.e-stat.go.jp/statistics/00450091
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