大阪グルメ/大阪のスペイン料理

今のスペインを感じさせる大阪の新星店!「エニェ」(2ページ目)

本場スペインで約7年ものあいだ修行されてきた砂田シェフが、大阪にコシーナ・ガストロノミカ(美食料理)のレスタウランテ「エニェ」をオープン! 大阪にモダンスパニッシュの新たな伝説が始まります。

執筆者:麻生 玲央

四季を大切にした「メヌー デグスタシオン」

スペインワイン

スペイン料理にはスペインワインを合わせたい。他にも、炭酸水にはスペインの「ペニャクララ22」もあり、実にセンスの良いドリンク類のラインナップです。

現在、メニューは「メヌー デグスタシオン(味見のコース)」6500円(税別)のコース一本というスタイル。そのコース料理は月一で内容が代わり、構成も少しずつ変更あり、とのことですが、基本的に「アミューズ」「タパス」「主菜」「アロス(米料理)」「デザートまたはスペインチーズ」という流れのようです。


・スパイシーアーモンド
スパイシーアーモンド

スパイシーアーモンド

この日のメニューは、まずはアミューズが3皿が登場。上写真はアミューズの一皿目、クミンなどの香辛料の香りをアーモンドに付与した「スパイシーアーモンド」です。

・黒オリーブのマドレーヌ
黒オリーブのマドレーヌ

黒オリーブのマドレーヌ

続いては「黒オリーブのマドレーヌ」。しっかりとした塩味と濃厚なオリーブの風味がワインを誘います。オリーブの実が苦手という人でも、これなら食べられるのではないでしょうか。

・マルティーニのジュレとペドロヒメネス風味のクリームチーズ
マルティーニのジュレとペドロヒメネス風味のクリームチーズ

マルティーニのジュレとペドロヒメネス風味のクリームチーズ

3皿目のアミューズは、「マルティーニ」のジュレとペドロヒメネス風味のクリームチーズを合わせた料理。洋酒の高貴な香りが効いた大人のテイストとなっており、こういう色気のある料理をアミューズで出せるところも、砂田シェフの懐の深さ(引き出しの多さ)とセンスの良さと言えるでしょう。

・三河赤鶏胸肉と水ナスのサラダ
三河赤鶏胸肉と水ナスのサラダ

三河赤鶏胸肉と水ナスのサラダ

そして、ここからはタパ(スペインの一皿料理)が登場。上写真は低温調理した「三河赤鶏胸肉」と、マリネした「水ナス」を合わせた一品。鶏肉の煮出汁を使ったジュレの旨味が全体を上品にまとめていて、夏にぴったりの爽やかな味わいです。


・赤パプリカのロースト、アンチョビ、山羊チーズのコカ
赤パプリカのロースト、アンチョビ、山羊チーズのコカ

赤パプリカのロースト、アンチョビ、山羊チーズのコカ

二品目のタパは、赤パプリカのローストにアンチョア(アンチョビ)とガロッチャ(カタルーニャ地方で作られている山羊のスペインチーズ)を重ねたコカ(スペイン風ピッツァ)。アンチョアの煮出汁をジュレのシートにしたものが程好い塩味を加味し、ワインを誘うテイストになっています。


・帆立貝・イベリコ豚首肉の生ハムのカルパッチョ、アーモンドビネガー風味
帆立貝・イベリコ豚首肉の生ハムのカルパッチョ、アーモンドビネガー風味

帆立貝・イベリコ豚首肉の生ハムのカルパッチョ、アーモンドビネガー風味

ここからは主菜が4品続きます。まずは帆立貝にイベリコ豚の首肉の生ハムを乗せた料理が登場です。柔らかでとろけるような食感の生ハムとホタテの食感が口の中で収斂し、アーモンドビネガーのアクセントがピタリ、と決まる仕上がりに。

添えられたカリフラワーのピュレも一緒に食すと優しく寄り添うような好相性。砂田シェフのセンスが光る逸品でした。


・サルサヴェルデに包まれた蛤、魚介のスープ ドノスティア風
サルサヴェルデに包まれた蛤、魚介のスープundefinedドノスティア風

サルサヴェルデに包まれた蛤、魚介のスープ ドノスティア風

ここで魚介のスープが登場です。バスク(ドノスティア)地方で修行されてきた砂田シェフだからこそ作り出せる本場の味わい、と言えるシンプルを極めた完成度の高さ。南仏のドロりとした「スープ ド ポワソン」とはまた違う、さらっとした舌触り(でも濃厚な旨味)のスープは、まさにバスクの魚介スープ(ドノスティア風)そのもの。私もバスクで魚介のスープを何度か食してきましたが、日本でここまでバスクの郷土味を体験したのは初めてです。ブラボー!

しかも、ここにサルサヴェルデを纏った超大ぶりの蛤が忍ばせてあり、このぷっくりとした柔らか食感が実に心地良い。素晴らしい完成度でした。


・姫イカのプランチャ、リードヴォーと空豆のソース
姫イカのプランチャ、リードヴォーと空豆のソース

姫イカのプランチャ、リードヴォーと空豆のソース

そして主菜の中でも特に記憶に残ったのが、この「姫イカのプランチャ」。カタルーニャやバスク地方では「モンテ イ マル(Monte y mar)」と呼ばれる、山の幸と海の幸を使った「山海料理」が定番の料理法の一つなのですが、その組み合わせを使った一皿となっています。

カタルーニャでは「鶏肉と伊勢海老」など、いくつかの組み合わせパターンがありますが、この料理は「姫イカ」と「リードヴォー」、そこにさらに「空豆」を付与した一皿に。

姫イカの精密な火入れも見事ですが、シェリーの甘い風味とリオハのワイン等などを使った甘口ソースが関西人にも馴染み深い、どこか懐かしさを感じるテイストになっているのです。


・大和ポークの低温煮込みと冬瓜、林檎酒味
大和ポークの低温煮込みと冬瓜、林檎酒味

大和ポークの低温煮込みと冬瓜、林檎酒味

最後の主菜は奈良の大和ポークの低温煮込みと、今が旬の冬瓜を使った料理。スペインをベースにしつつ、和のような四季の季節感を出されているところも良いですね。

そして印象的だったのは、そのソース。豚の煮汁に「シドラ(林檎酒)」を付与した甘辛ソースは豚肉を一層引き立てるような相性の良さで、リオハの赤ワインやアストゥリアスのシドラはもちろん、スペイン人が大好きなコーラでも合わせてみたくなる、スペインらしい味付けが絶妙な一皿でした。


次のページからは、アロス(米料理)やポストレを御紹介していきます

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