実はスポーツカーとして理想的なバランス
先ほどコルベット伝統のエンジンや足回りを使用していると述べましたが、もちろん逆に変わったこともあります。まず、C5と比べてとてもコンパクトになりました。全長が100mm、全幅で10mmも短くなっています。ただしホイールベースは30mm延ばされるなど、乗員スペースやラゲージは犠牲にしていませんので、キュッと引き締まった印象です。
またC2(2代目)から続いたリトラクタブル式ヘッドランプをやめました。空力抵抗を考慮して固定式としたとプレスリリースには書かれています。軽量化の目的もあると思います。
バックボーン・フレーム構造とよばれる、これまた伝統のボディ構造も基本設計はそのままですが、アルミ製コックピットフレームの採用などで軽量化が図られました。その分防音性の向上や室内装備の充実化によって、車両重量はC5とほぼ同じ1500kgです。
またリアにトランスミッションを配したのもC5同様です。これにより、前後重量配分は51:49とスポーツカーとしては理想的なバランスになっています。つまり、根っこの部分はもともとスポーツカーに適しているのです。
フレームがオールアルミ製となるZO6。各種レースのフィードバックによって高剛性化と軽量化が図られ、足回りは専用のセッティングが施されています。またフロントのエアインテークや、大型化されたリアフェンダーなど、専用のエクステリアも与えられています
そこにサスペンションの特性をTOUR/SPORTSに切り替えられるマグネティック・セレクティブ・ライド・コントロールや、デュアルモード・ヘッドアップ・ディスプレイ、ランフラットタイヤ、DVDカーナビゲーションなど、装備も含め、開発時点での先端技術を盛り込んだというわけです。
なお2008年モデルからは排気量が6.2Lに引き上げられています。また同年2月からハイパフォーマンスモデルのZO6が、さらに2010年8月からはZR1追加されました。
ZO6はル・マンでクラス優勝したCR-6など、モータースポーツでの技術がフィードバックされたモデルです。排気量は7Lに引き上げられ、最高出力は511PS。ミッションは6速MTのみで、新車時価格は945万円。
一方のZR1はニュルブルクリンクを7分26秒4という、当時の日産GT-Rのタイムを破ったモデルです。6.2Lエンジンにスーパーチャージャーを備え最高出力647PS&最大トルク819Nmで、新車時価格は1490万円。こちらも6速MTのみです。
ちなみにZO6の最安値は468万円(2006年式/8.3万km/修復歴なし)、ZR1の最安値は898万円(2010年式/3万km/修復歴なし)。新車時の半額前後というところですが、パフォーマンスを考えるとお安いと思います。
ただ、ポルシェやフェラーリとサーキットで競う気のない私なら、ベースグレードで十分です。むしろ半世紀近くも前から続く伝統的なエンジンやフレーム、足回りを持つコルベットに、今の時代に乗れることに幸せを感じます。
きっと、街中でポルシェやフェラーリが隣りに止まったら「ま、勝てない相手じゃないね」なんて独りごちるんだろうな。
このように、しっかり調べてみればお買い得な車種は意外とあるものです。あなたも一度、探してみてはいかがでしょう。
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