テクノポップ/アーティストインタヴュー

時間や場所を忘れさせてくれるSigh Society(2ページ目)

90年代初頭、テクノ黎明期のPC-8に始まり、現在Sigh Societyとして活動するハゼモトキヨシさんに登場いただきました。InterferonとしてカヴァーしたYMO曲、ヴォルフガング・フリューア公演でのオープニング・アクト、そして渾身の新譜『Swell EP』等について語っていただきました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

WHO’S YMO

ガイド:
PC-8後、元電気グルーブの高橋コウジさんとのMutron、そしてInterferonと変遷されていきます。Interferon名義では、『WHO’S YMO—再日本製—』でYMOの「Epilogue」をカヴァーをされていますね。これは『Technodelic』のラストとなるインスト曲ですが、いままであまりカヴァーされなかった曲です。この曲を選んだ理由を教えてください。

WHO’S YMO—再日本製— (amazon.co.jp)
whosymo

WHO’S YMO


ハゼモト:
実はいわゆる中期YMOをあまりそれまで聴いてなくて。小学生の頃買った「ライディーン」の辺りから浮気なぼくらで再度ハマるまで、個人的に空白の期間があったんです。『WHO’S YMO』の時カヴァーすることになって、初めて全部のアルバムを聴き込んでみました。それで改めて中期のよさに気付いたんです。あと、これは小学生には難しいなとも感じました(笑)。なので、この曲を選んだ理由は、当時1番新鮮に感銘を受けたYMOの曲だったからですね。

ガイド:
『WHO’S YMO』のライナーノーツを読み返してみると、これは実際にクラブイベントとしてもやっていたとあります。最初からこのような形でリリースするつもりでやったイベントではなく、イベントがきっかけでリリースとなったのですか?

ハゼモト:

最初は確かチッタでイベントがあって、その時の特典用にオムニバスのカセットテープを作ったんだと思います。それをCD化しようとして出来た企画だったのでは。多分CD用には全員録音しなおしてると思います。

ガイド:

僕は、「テクノポップ」と「テクノ」で何かが違うんですか?と読者の方や周囲の人によく訊かれます。これについては正解がない質問であるとは思います。そのふたつは、僕の中では繋がっていて、両方やるアーティストも結構いますが、ジャンルというよりも時代感の違いのようなものを感じます。ハゼモトさんは、どのようにお考えですか?

ハゼモト:
実際は「テクノポップ」「テクノ」の両方の中でも細分化されていると思うので、ただの呼び方の違い位に思ってますが、個人的には「テクノポップ」はポップミュージックにシンセなどの機械的な要素が入ってるもので、「テクノ」はその機械的な要素だけで出来てる音楽って感じでしょうか。そのまんまですけど(笑)。

InteferonからSigh Societyへ

ガイド:
Interferon自体もソロ・プロジェクトでしたが、2012年にSigh Societyに名義を変えられています。これは、なんらかの意図があって変えたのでしょうか?

ハゼモト:
元々Interferonを久々にやる時に、昔の自分と再会したような変な感覚があって少し違和感もあったんです。でもライヴを繰り返してるうちにその違和感が無くなってきたので、改めて今の自分に合った新しい名前に変えようかなと思いました。あとはInterferonって最初は辞書を見てたら「ウイルスを抑制する物質」とあってポジティブな言葉として付けた名前だったのですが、有名な重い病気で使う薬の事だったりするので、実際に使ってる人達に嫌な思いを感じさせてたら嫌だなと思った事もきっかけでした。

Sigh Societyもネガティブな響きなんですがこれはHigh Societyの捩りです。選ばれた人のための音楽じゃなくて一般的というか自分達のための音楽をやりたいなと思って、この名前にしました。
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