専門学校から大学編入する道
専門学校から大学編入する道とは
そのため“滑り止め”といわれるランクを下げた大学も併願するのが一般的な受験パターンです。しかし、併願校しか受からなかった場合は、合格した大学へ進学するか、もしくは上位の志望校を再度、受験することになります。
後者の場合は以下の3通りの選択肢が考えられます。
- 浪人して予備校などに通う
- 予備校などに通わずに自力で頑張る
- 合格した大学に一旦入学し、在籍しながら“仮面浪人”として、来期の受験に臨む
たとえ合格しても……
そういった中、専門学校から4年制大学への編入学制度を利用することで、活路を見いだすケースが増えています。また、専門学校の出願受付は3月の最終まで可能なところも多いので、大学受験を終えた後の選択肢としても注目を集めています。
それでは、どのような専門学校から編入学が可能なのか、また、どういった分野が相性がいいのかなどを考えてみたいと思います。
ちなみに、現役受験をリカバーするための編入学以外にも、専門学校で学んだことを一層深め、スキルを積み上げるために編入学をするケースもあります(積算型といわれています)。工業系、服飾系など、ものつくりに関わるクリエイティブな分野に多く、こちらは大学への編入を意識して専門学校を選んだという訳ではなく、学びの延長線上の一つとして選択する場合がほとんどです。
また、この分野の専門学校は技能修得という点でより多くの時間が必要とされるため、もともと3年制や4年制コースになっている学校も多く、改めて編入学制度を活用する人は少ない状況です。たとえ編入学や単位互換などの相互交流が盛んな場合があったとしても、そちらは大学と専門学校が同一法人にある場合がほとんどですので、そのため、ここでは、これらの積算型ではないケースについて、解説していきます。
まずは、そもそも大学への編入学とは、どの専門学校でも活用できるのでしょうか?
4年制大学への編入学を活用できる専門学校の条件
就活は専門卒or大卒orW卒?
最短、最適なコースでいくと、専門学校を卒業することで得られる『専門士』と大学卒業で得られる『学士』の両方の称号が4年間で得られます。
ただし、どの専門学校からでも4年制大学への編入制度を活用できる訳ではありません。文部科学省が定める学校教育法の中では2年間の総授業が1,700時間以上という規定があります。
難関大学への編入学は、語学系専門学校が有利とされる訳
編入学制度を取り入れている専門学校の中でも、特に語学系の学校が難関大学・名門大学に強いとされています。専門学校の分野区分である8分野の中では“商業実務分野”に該当します。専門学校の学科・コース名では、大学編入専攻などと明確になっています。なぜ語学系の専門学校にそういったコースが多いかというと、編入学にも試験があり、その試験科目に共通した特徴があるからです。
受入れ大学では、どの系統の学部・学科であれ、編入学試験の際に“英語”、“小論文”の2科目と“面接”が課せられています。特に、英語などの語学試験は必須となっているところがほとんどです。
そのような編入学試験へ対して語学系専門学校が取る対策には、次のポイントが挙げられます。
1.語学試験科目対策
TOEICなどの資格試験にも繋がる語学系科目がカリキュラムの中心となっています。
2.大学ごとの試験対策
予備校のように、大学ごとの編入学試験の傾向を分析し、それに合わせた独自の対策を取っています。
3.面接対策
編入学コース以外の他学科の学生と同じく就職活動に直結したビジネススキル、面接アピール、論述対策なども鍛えられています。
また、大学の1、2年で学ぶ一般教養に相当する人文学系・社会科学系・自然科学系の科目を選択授業として学ぶことができるようになっている学校もあります。
ただし、理系学部への編入には専門科目の試験が課されることもあるので、別途、そちらの対策をしなくてはいけない場合もあります。
大学編入学試験で合格しなかった場合は?
語学系、積算型どちらのタイプにしても、たとえ編入学試験に合格しなかったとしても、専門学校ならではの強みである就職に向けたビジネススキルは鍛えられているので、一般企業などの内定獲得は手堅いものがあります。また、専門学校と大学が提携を結んでいて指定校枠があったり、母体になる法人が同じグループであったりする場合には、不合格となることは極めて希です。
ただし、大学の学校案内や学校ガイドには編入学募集に関しての定員や試験などの詳細は公表、記載されていないケースが多いので編入学を見越した専門学校選びには注意する必要があります。
カギを握る、“目標設定”“目的意識”の明確さ
知識よりも問われるもの
編入学試験では、一般入試のように学力の到達度を測るテストがあるのではなく、志望理由や研究に関する目標などを論文で記述するか、または面接で問われることになります。まさに大学や専門学校のAO入試制度の対策に通じるものがあり、将来の目標や目的をいかに明確にアピールができるかが成否のカギを握ることになります。
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