少子化の中、不登校生はコロナ禍、最多に……

不登校が最多に

不登校が最多に

いまや差し迫った社会問題として警鐘を鳴らされる不登校の問題ですが、10月13日、文部科学省は令和2年度の児童の問題行動・不登校に関する調査結果を公表しました。昨年から続くコロナ禍の影響もあり、不登校生は8年連続の上昇となっています。少子化で右肩下がりの就学児童生徒数ですが、反して不登校生は増加の一途をたどっているのです。

不登校の子どもにしてみれば、昨年は「機会をうかがいながらなんとか学校復帰を」と思い立ったものの、相次ぐ緊急事態宣言や一斉休校、分散登校、オンライン授業など非日常の対応に翻弄されて、また元の不登校に戻ったケースも少なくありません。

公表によりますと2020年度の小学校生の不登校者は6万3350人(昨年比1万人増)、中学生は13万2777人(昨年比約5000人弱増)となっています。残念ながら、義務教育下における小学生、中学生には居住地により定められた学校に通うか、通わないかの選択肢しかありません(原籍校である中学校と連携しているフリースクールを活用するケースもあります)。

しかし、そうした状況の中で高校生の不登校数は一転、4万3051人と昨年比でみると約7000人減少に転じています。その要因のひとつとされているのが通信制高校の存在。

不登校生数最多の実態に迫る記事が新聞主要各紙の一面で大きく扱われましたが、そんな各紙も踏み込めていない、不登校の受け皿だけではなく様々な特色がある今どきの通信制高校の魅力についてお伝えします。
 

高校生にある「通信制」という選択肢

高校生の場合は、たとえ不登校になったとしても、転校というある種の救済策があります。とはいえ、全日制の公立、私立間の転校は受入れ枠や試験のレベル、タイミングなどの面で厳密な規定があり、思い通りにできないのが通常です。
 
その点、公立私立問わず全日制高校から「通信制高校」への転校は、比較的容易にできます。しかも、不登校の期間のいかんに関係なく、転校のタイミング次第では学年をずらす(留年する)ことなく卒業することも可能です。

文部科学省の規定では高等学校の卒業は、通算3年以上の在籍と74単位の取得が条件となっています。全日制高校の場合は学年制になっていることがほとんどのため、単位の履修、取得という表現がピンときません。各学年の終了時に自動的に時間割の科目数の単位が取得できているということです。

単位(科目)を取得するには、全日制高校は授業に出席するのが必須ですが、通信制高校の場合は「レポートの提出」がそれにあたります。レポートといっても大学で行われるような調べ学習の意味ではなく、教科書を見ながら、所定のプリントの穴埋め、ドリルをやるイメージです。伝え方に語弊を招くといけませんが、皆さんの想像以上に簡単であることは確かです。

その学習の質と量の軽さを活かしてこそ、多様なコース設定、柔軟なカリキュラム編成を可能にしています。
 

昔とどう違う? 今どきの通信制高校の特色

通信制高校はもともと勤労学生のためにできた制度の高校でした。自宅でレポートをこなし、それを郵便ポストに投函すれば高校に届けられる制度のため「通信制」という言葉が使われました。しかし、自宅で周りのサポートもなく、ひたすら自己管理でレポートを進捗させるのはモチベーション的にも難しく、そのため卒業率も低いのが昔ながらの通信制高校でした。
 
不登校生が増え始めた1980年代後半、そういった子どもを積極的に受け入れた塾がレポート作成も含め、多種多様な支援をしながら通信制高校と提携した「サポート校」として、卒業率だけではなく教育の質も高めてきました。今では、通信制高校自体も主要各都市など、需要が見込めるエリアに学習拠点を展開しています。
 
そうした中、不登校生の上昇と並走して通信制高校数、在籍生徒数も増え続け、2000年度には44校だったのが2020年度には4倍の257校になっています。

また「高卒」は大前提として、「+αの教育サービス」を提供するのが差別化を図る今どきの通信制高校です。今どきの通信制高校の主な特色は次のようになります。
 
■通学スタイルの多様化
オンラインの活用と年数回の通学で完結するところもあれば、週1/2/3など自由に選べるコースや全日制のように毎日の通学スタイルが必須の学校もあります。
 
■やりたいことの実現に向けての特色ある学科・コースの併設
近年増えているのが、小中学校の学び直しだけではなく卒業後の進路は大学進学を希望する生徒です。そういったニーズに合わせて大学進学に向けた受験対策の特別授業をしたり、個別指導を行ったりする学校もあります。

一般的に多いのはイラスト、まんがなどのデザイン系、ファッションやメイク・ネイルなどのビューティー系、ダンス・ボーカルなどのエンターテインメント系、また近年ではプログラミング系も人気です。最近では、eスポーツやYouTuberのような映像の編集コース、海外留学などもあり、時代性を反映しているのも今どきの通信制高校の特色です。

その他、発達障がい、学習障害、ADHD、起立性調節障害、引きこもりなどで課題を抱えるお子様へのサポートや通常の高校生活には馴染まないアスリートやタレントなどまで幅広く対応している学校も少なくありません。
 

現在の学校制度のさまざまな不具合と、通信制高校の魅力・選び方

よく学校選びのご相談を伺うと「どこが良い学校ですか?」と聞かれる場合がしばしばあります。そのようなご質問に対しては、「良し悪しの視点ではなく、お子様の特性に合った学校を探しましょう」とご提案させていただいています。

通信制高校の特色であるやりたいことコースや通学スタイルなどのチェックポイントを意識しながらお子様の特性に合った学校を選ぶイメージです。学校から選ばれるのではく、主体的に学校を選ぶことになります。
 
障害者権利条約を批准している日本は、経済から教育まで様々な活動のフェーズで“合理的配慮“を持った視点が求められています。さらに、世界的な取り組みが取りざたされているSDGsやジェンダーへの対応など、行政、民間だけではなく、教育機関も細やかな配慮が必要とされています。

しかし、集団性を重んじ、一斉授業を主体として、毎日の通学が必須な現在の学校制度ではさまざまな不具合が生じて、不登校問題に歯止めがかかりません。
 
一方、インターネットやオンライン教育との親和性も高い今どきの通信制高校は、不登校問題だけではなく多様性を含む社会課題に対しても柔軟に対応ができる仕組みとなっています。コロナ禍などの非日常時においても適切な学校教育が可能な通信制高校のこれからに、ますます期待がよせられます。

【参考情報】
児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」(文部科学省)
高等学校教育の現状について」(文部科学省)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。