新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない状況で新学期を迎えた教育現場。学校再開については賛否両論、揺れに揺れています。しかし、大学受験を控える高3生にとっては「待ったなし」の状況に変わりはありません。混乱を極める受験生にとって、勝ち残るための今どきの入試の秘策はなんでしょうか。
 

「ESできた? ガクチカ書けた?」――何のことかわかりますか?

ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」

「学生時代に力を入れたこと」を意味する就活用語のガクチカは、大学受験を目指す高校生にも通じる入試対策のキーワードでも

これは、しのぎを削っている大学生の就活用語です。ESとはエントリーシート、ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」になります。ここの構成を何度も練り直し、書き直しながら業界研究、企業研究を進めていきます。大学生の就職活動においては極めて重要度の高い「ガクチカ」ですが、実は大学受験を目指す高校生にも通じる入試対策のキーワードです。
 
少子化が進む近年の入試は学校経営の根幹にかかわるものとして位置づけられて、各大学とも様々な選抜方法で入試の間口を広げ、学生募集に躍起になっています。
 
一方、少子化にもかかわらず大学進学率が上昇を続ける中、早めに進路を確定させたい高3生は「総合型選抜入試(旧:AO入試)」を利用するケースが増えています。総合型選抜入試は学力試験が課せられず、志望動機や志望理由を書面で提出したり、面接で応えたりすることで自己PRをしていくのが一般的です。
 
さてその自己PRですが、高校生の場合は主に次の4つのポイントを軸に「学生時代に力を入れたこと」いわゆる「ガクチカ」として構成していきます。
 
  1. 部活動(生徒会活動含む)
  2. 勉強(教科学習、資格取得)
  3. 学校内外行事への取り組み(文化祭、体育祭、ボランティア等)
  4. アルバイト
 
さらに、「取り組みました」「頑張りました」とただ書き連ねるのではなく、いつまでに何をどうまとめておくかというスケジュール管理能力も問われます。
 

休校や自粛生活で増えた「ガクチカ難民」

ほとんどの大学では、6月1日から出願前の事前予約的な意味を持つ「エントリー」が始まります。その時には前述した志望理由書や自己PR書類などをまとめて提出しなくてはいけません。
 
2020年を振り返ると、3月から発出された緊急事態宣言により全国の学校が閉鎖され、一斉休校となりました。ちょうど各学年の3学期にあたり年度の終盤を迎えようとしていた時期から始まり、新年度の5月の半ばまで学校に通えない状況が続きました。

いまどきの進路指導の現場では、高校2年生の3学期は進路活動が本格的にスタートする「3年生の0学期」と称されていて、高校生の進路選択においてはとても重要な時期です。
 
それが、スタートダッシュのタイミングが削がれ、新年度になってからも、さまざまな社会活動の停止の影響で部活動の対外試合や大会、コンテストなども延期、中止を余儀なくされ、中途半端な幕引きで引退していくこととなりました。

資格取得のための全国一斉試験も同様です。当然のことながら人が集まる学校行事も回避され、さらに多くの高校生がアルバイト先としている飲食店も自粛に追い込まれ、それらの機会がなくなりました。
 
何かしら目標を定め、目的もって頑張って取り組んで、その過程や結果で得たものを自己PRで表現すればいいのですが、その「ガクチカ」を構成する素材が極端に乏しく、自力ではどうすることもできなくなり、まさしく入試対策における難民状態となりました。
 
加えて、入試方法の対策だけではなく、進路選択、志望校決定に欠かすことができない学校内外で行われる合同相談会や体験入学・オープンキャンパスなどの進路イベントも影響を受けました。今までは、インターネット上の情報の比較検討から始まり、対面で大学の担当者の話を聞く機会もあり、それら進路選択の経過を随時、学校の先生に相談することが日常でした。それらの進路イベントも相次いで中止となり情報収集の機会が失われ、学校閉鎖により先生に直接会って相談することもままなくなりました。
 
インプットである情報収集も、アウトプットである「ガクチカ」も十分なされないままの志望校決定であれば、当然のことながら大学、学生ともにミスマッチが起きやすくなります。
 

終息が見えない感染拡大、そんな中でも準備できるガクチカとは?

まだまだコロナの感染拡大の終息が見通せない2021年度ですが、もし学校現場を止めれば、再び生徒の進路活動が滞る可能性がでてきます。しかし、いつ、どのような状態になったとしても、総合型選抜入試で勝利するためには、ガクチカを練り上げ、自己PRをしなくてはいけません。

そうしたときに、いかなる社会活動の制限がかかろうとも場所と時間を問わず、かつ他者との関わりを必要としないガクチカは、前述した4つの要素の中では2つ目の「勉強」になります。

学校現場はWith コロナ、After コロナを見据えたニューノーマルな教育様式をいち早く構築し、「ガクチカ難民」を生まない対策が求められることは当然ですが、学業、勉強、学習については生徒一人が明確な目標、目的をもって自力で取り組むことができます。

たとえ学生時代の活動履歴が重視される総合型選抜入試で臨まなくても、確かな学力さえ身についていれば「一般選抜(旧:一般入試)」で本領を発揮することができます。

いまさらながら、当たり前のこととして言い古されている「学生の本分たる勉強」こそがコロナ禍で揺れる入試対策において、わが身の進路を救うカギとなることでしょう。
 
【参考情報】
With コロナ時代の進路指導と進路選択に関するアンケート調査 “進学情報の入手はイベントで。8割以上の教員が「対面型」を重視“ 高校進路指導部対象「進路指導と進路選択に関するアンケート調査」より(ライセンスアカデミー)
https://licenseacademy.jp/webroot/pdf/newsrelease/pr_20210729.pdf
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