スポーツドリンクやカフェインには注意
熱中症予防のための水分・塩分補給に、味噌汁も有効と考えられています。
スポーツ選手などのパフォーマンスをあげるには、水分やエネルギーを補給するため、スポーツドリンクがよいという報告もありますが、一般的に屋内で生活し運動量が少ない場合には、糖分の多さが気になります。
ブレイクタイムに緑茶やコーヒーなどを飲むことは悪くありませんが、アルコール同様に水分補給とは考えないようにしましょう。カフェインの含まれる飲み物は、利尿作用があるためです。緑茶やコーヒー、紅茶だけでなく、コーラなどにも含まれています。水分補給には、一般的な水や麦茶などのカフェインが含まれない飲料がよいでしょう。
梅昆布茶や味噌汁も見直そう
ガイドが子どもの頃は祖母から、「梅昆布茶や味噌汁は夏を元気に乗り切るために役立つ」と聞いたことがありますが、最近では味噌汁を毎日作らない家庭もあるようです。熱中症診療2015年版ガイドライン(日本救急医学会「熱中症に関する委員会」によって作成された)でも、「梅昆布茶や味噌汁などもミネラル、塩分が豊富に含まれており熱中症の予防に有効と考えられる」とあります。
塩分については、体液中の塩分濃度は0.1~0.2%に合わせた食塩水、つまり 1リットルの水に 1 ~ 2g の塩分を補給すればよいと言われています。
梅干し1個10gで約2gですから1リットルの昆布茶に入れて作り置きするなどしておくとよいでしょう。
また、味噌汁1杯分も1.5~2gの塩分濃度です。暑い時に暑い食べ物は体によいと言われていますが、近年のような過酷な暑さでばて気味の時には冷たいお味噌汁もおいしく、食欲もわいてきます。少し多めに作って冷蔵庫で冷やし、食事やお茶の時間に飲むのもおすすめです。
ただし、塩分が熱中症予防に役立つとはいえ、塩分補給は汗をかいて塩分濃度が下がっているか、あるいは水分不足になっているかによって、その必要性は異なります。むやみにたくさん飲んで過剰摂取にならないように注意しましょう。塩分が気になるけれど、濃い味が好きという人は、だしを効かせて味噌が適正量を超えないようにしてみましょう。
予防には運動と栄養で、暑さに強い体力作り
また熱中症予防には、血液量を増やすことが役立つとも見られています。低栄養の人が熱中症になるリスクが高いというのも、体温調節するために皮膚に血液を集めて熱を発散するだけの血液量が少なく、また体力も落ちるという面があるのでしょう。速足などのややきつい運動に牛乳の摂取をすることで血液量が増え、また体内の水分量を調節することで、汗のかきやすさ、皮膚血管の開きやすさが増加し、より暑さに強い体になるという研究報告もあります。
熱中症対策には、日頃の運動やバランスのとれた食事で体力作りをすることや、汗をかく機能を低下させないことも大切です。
参考/
・「熱中症診療ガイドライン2015」
・牛乳による熱中症対策の有効性 報道資料(一般社団法人Jミルク)