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遅ればせながら、いくよくるよの漫才を再評価する(2ページ目)

80年代のマンザイブームに花を添えた人気漫才師・今いくよの訃報は、多くの人々に驚きと悲しみをもたらせました。心よりご冥福をお祈りするとともに、その人気に対してあまり言及されることの少なかった、漫才の実力についてたどってみたいと思います。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

お笑い・バラエティ番組ガイド


マンザイブームで起死回生

1980年はのっけからマンザイブームが巻き起こりました。前年10月にスタートした「花王名人劇場」が1月に放送した企画「激突!!漫才新幹線」が高視聴率をマークし、4月の特番「THE MANZAI」で完全に日本中が漫才に夢中になりました。

そんな中、芸歴10年になろうとする今いくよくるよにも「名人劇場」出演のチャンスが舞い込みました。その裏で「これでダメだったら……」という吉本サイドからのプレッシャーもあったと聞きます。

こうした重圧の中で演じた漫才は、劇場内で大爆笑を獲得。その後、長く第一線で活躍してきたことはご存知のとおりです。では鳴かず飛ばずだったコンビが、なぜ一夜にしてブレイクを成し遂げたんでしょうか?

喋りと動きの相乗効果

35年経った現在の目で勝因を探ると、第一に動きの大きさがあったように思います。B&B、ザ・ぼんち、のりお・よしお、そしてベテランのやすし・きよしにしても、しゃべくりの巧みさだけでなく、コンビのアクションで爆笑をつかみ取っていました。いくよくるよのお腹をポンポン叩くギャグや、体全体を使ってパウダーをはたくアクションも、誰が見ても受ける鉄板ネタで、長年安定した人気を維持してきました。

あのブーム時の漫才は、一方的に喋るボケ役に対してツッコミ役が相づちを打つというパターンが大部分。しかし、ともに喋りが達者な両人のスキルを生かして、くるよの体型をいくよが突っ込めば、いくよの首のスジをくるよが文句つけるという丁々発止のやり取りを得意にしました。これって実は、高い技術とコンビネーションが必須の高難度テクなんです。

そんな今いくよくるよを二度と見ることができないという寂しさが、このガイド記事を書いていて改めて押し寄せてきました。今いくよさんの御冥福を心から祈るとともに、今くるよさんも悲しみから立ち直ったら、再び芸人としての輝きを多くの観客に見せていただきたいです。
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