中古マンションの年間成約件数は、10年間で2割超上昇
登録物件と成約物件の大きな差異は築年数 

欧米と比べ住宅売買における中古流通のシェアが少ないといわれる日本。国土交通省によれば既存住宅の流通シェアは、14.7%(平成25年)。欧米の水準と比べると、おおよそ6分の1です。全国で、空き家が820万戸(平成25年)といわれる中、適切にストックを活用していくことは、人口減が迫る中重要なことでしょう。

ここ数年、堅調な売れ行きで注目度の増しているマンション市場では中古流通の状況はどうでしょうか。公益財団法人東日本流通機構発表のデータを基に、中古マンションの流通トレンドを見てみたいと思います。

年度ごとの中古マンションの流通データによれば、2014年度の首都圏の中古マンションの成約件数は、3万3265件(前年比-9.5%)。価格上昇トレンドの中、3年ぶりに前年度を下回る数値でした。しかし10年前の2004年度の成約件数2万6708件と比べると、約24%成約件数がアップしています。2004年の首都圏での新築マンション供給戸数は、8万5千戸強。2014年の供給戸数は、4万4千戸強。マンション流通における中古流通のシェアは、大きく上昇しています。
過去10年間の首都圏中古マンション不動産流通市場の動向

過去10年間の首都圏中古マンション不動産流通市場の動向 年度ごとの表記(出典:公益 財団法人東日本不動産流通機構のデータを加工)

では、中古流通活性化に必要な、売り出し物件数はどうでしょうか。2014年の新規登録件数は、16万2845件。価格上昇にもかかわらず売出し件数は横ばいになっています。300万戸を超える首都圏中古マンションストックからすれば新規売出しは、おおよそ5%。成約件数はわずか1%のシェアです。ストックの流動の少なさが見えてきます。成約/新規登録の割合は、リーマンショックの2008年と東日本大震災のあった2011年は、落ち込みましたが概ね20%前後で推移。市場とのマッチング期間と考えると、流通件数のアップには、新規売り出し物件が増えることが必要になります。

新規登録物件と成約物件を比べると、需要と供給のミスマッチが垣間見えます。2004年に平均16.73年だった成約築年数は、2014年には19.66年に上昇。一方、新規登録年数は、21.9年になり10年前と比べると、成約平均築年数との乖離が大きくなっています。こうした、築年数ニーズとの不一致も成約件数が伸びない一因かも知れません。
中古マンションの平均築年数

中古マンションの平均築年数(出典 公益財団法人東日本不動産流通機構)

築年数別の成約物件と新規登録物件を見ると、築5年以内のマンションは、6.5%の新規登録シェアに対し、8.4%の成約シェア。築浅い中古マンションの購入ニーズが高いことがうかがえます。一方、築31年以上のマンションの登録シェアは27.5%に対し成約シェアは、22.7%。築古の中古マンションの流通は今後の大きな課題になりそうです。
中古マンション築年帯別構成比率

中古マンション築年帯別構成比率(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構)

築浅いマンションで、希望の物件を購入するのは至難の業
新築を購入した人がマンションを売らないのは、成功した証?

中古マンションの流通件数が少ないことは、ある意味マンションの購入で多くの人が成功している証ではないでしょうか。新築マンションを供給するディベロッパーの顔ぶれは、ここ数年変わっていません。過去の経験や知見に基づいた商品企画を行っているわけですからこのサイトでも紹介しているように魅力的なマンションを供給しています。よほど条件面を誤らなければ、満足いくマンション選びができているのではないでしょうか。
ワテラスタワーレジデンス

近年分譲されたマンションは、独自性の高い商品企画で中古市場で人気のあるマンションが多い(写真はワテラスタワーレジデンス)

一方、これから購入する人が築浅いマンションを中古で買うのは至難の業です。10年前と比べ新築マンションの分譲戸数も減っていますので、築浅マンションの中古の流通は、今後減っていくでしょう。

最後に、欧米に比べて日本の中古の流通件数の少ない要因についてガイドの考えをいくつか紹介します。まず、転職など雇用の流動が欧米に比べて少ない点です。平均就業年数は、アメリカに比べ日本は倍以上。定着率の高い雇用環境です。また、離婚の割合もアメリカに比べれば約半分。住宅を売却する必要に迫られる割合が社会的に低いと言えるでしょう。日本の住宅ローン金利の低さも、自宅を保有しやすい状況を生み出していると思います。

もう一つは、新しいものを好む国民性と新築物件を供給しやすいシステムにもあると思います。欧米では、完成した建物についてファイナンスが出やすいようですが、日本では未完成でも築年数が古い建物よりは圧倒的に新築に融資が出やすい。また、重い相続税のため代替わりのたびに土地が放出されやすい点もコンスタントに新築物件の供給が続く理由でしょう。ただし、社会構造や個人の志向も時代とともに変わるものです。10年間徐々に変化すれば東京23区の人口がこの10年で大きく増えたように中古市場も活性化するかもしれません。
不動産価格指数(住宅)(全国)の推移

不動産価格指数(住宅)(全国)の推移(出典:土地総合情報ライブラリー 国土交通省)

良質なストックの形成こそ、次代の住まいの流動性に繋がることは間違いありません。売却したくないマンションが増えることが未来につながるのではないでしょうか。国土交通省発表の不動産価格指数(住宅)(全国)を見ると、一戸建てと比べマンション価格の上昇が顕著です。戸建てとの違いで思い浮かぶのは、耐用年数の長さと立地の利便性。長寿化が進む中、終の棲家としてのマンションがクローズアップされているのだと感じます。
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