社会保険/社会保険の基礎知識

平成27年1月~改正!高額療養費制度の活用方法(2ページ目)

健康保険には、毎月の医療費が高額になった場合、一定の金額が後で払い戻される制度(高額療養費制度)があるのをご存じでしょうか。本制度の特徴は、払い戻し額が加入者の負担能力に応じ異なること。今般、本制度が平成27年1月診療分より改正されました。払い戻し額を決定するための区分表が従前より細分化されたのです。本記事で改正点を確認し、従業員に周知をしておきましょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド


2. 70歳以上75歳未満は変更なし

全国健康保険協会ホームページより抜粋

全国健康保険協会ホームページより抜粋


(※1) 被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合です。
(※2)被保険者とその扶養家族全ての収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合です。
(注)現役並み所得者に該当する場合は、市区町村民税が非課税等であっても現役並み所得者になります。

3. 多数該当の高額療養費に注意!

高額療養費制度には、1年間(直近12ヶ月間)に4回以上該当した場合、4回目から自己負担限度額が更に引き下がる「多数該当」という仕組みがあるのをご存じでしょうか。上記により区分が細分化されたことに伴って、この多数該当の自己負担限度額も変更されています(上記表の多数該当欄で確認ください)。なお、低所得者については額の変更はありません。

■具体的には次のような負担になります
全国健康保険協会ホームページより抜粋

全国健康保険協会ホームページより抜粋


高額療養費制度では「限度額適用認定証」をフル活用しよう!

高額な医療費が予想される場合には、限度額適用認定証をフル活用しましょう

高額な医療費が予想される場合には、限度額適用認定証をフル活用しましょう

高額療養費制度は、前記の通り、医療費の自己負担額が高額になった場合、一定金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。一時的とはいえ立替えるわけですから大きな負担になりますね。

そこで活用したいのが「限度額適用認定証」です。70歳未満の場合、医療費が高額になりそうなときは、事前に保険者に当該認定証を発行してもらい、保険証と併せて医療機関等に提示することで、立替額が自己負担限度額までとなります。

「一端建て替え、後で戻ってくる」というプロセスが省略できるのです。70歳未満で、医療費が高額になることが事前に分かっている場合には「限度額適用認定証」をフル活用しましょう。

なお、70歳以上の場合は、当該認定証がなくても、支払は自動的に自己負担限度額までになります(低所得者区分の適用を受けるためには認定証が必要です)。

<参考資料>
高額療養費制度が平成27年1月から変わります(協会けんぽ)
<関連記事>
従業員の病欠時に活用したい健康保険の手当金
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