パワハラとは?
指導とパワハラの違いを理解しましょう
上司である以上、部下に対して仕事上のミスに対して注意をすることは当然ですし、時には激しい口調で指導することも必要になるでしょう。しかし、仕事上の指導を逸脱して、個人的な感情をむき出しにして、部下個人の人格にまで及んでしまうとパワハラになります。
パワハラと指導の線引きは?
暴力、謝罪の強要、無視、仲間外れなどの典型例であれば、当事者も周囲の人もパワハラであると容易に判断できます。判断が難しいのは、言葉のパワハラです。職場でどの程度であれば指導であり、どこからがパワハラに該当するのでしょうか。この質問に答える前に、指導とパワハラの違いを明確にする必要があります。指導は、部下なり組織なりの成長や改善を思って行われるものです。上司自身の評価のためといったこともあるかもしれませんが、結果はどうあれ、広い意味で会社のためということができます。これに対してパワハラは、好き嫌いといった個人的な感情が先行して、成長などのポジティブな動機がありません。つまり、指導とパワハラは、その動機から異なります。
例えば、「何やってるんだ!しっかりやれ!」という発言。上司の言葉使いがこんな感じだったとしても、それが仕事に対する叱責であれば、多少言葉が汚くても、部下にとって指導なのだと分かります。しかし、特定の人にだけ悪意をもってこのような言葉使いをするようなケースであれば、それはパワハラです。そうした上司の感情は周囲にも伝わります。
このように、パワハラと指導は一定ラインで線引きするというよりは、言動の動機から判断されるものといえます。
打たれ弱い部下への対応
パワハラと指導は、動機からして異なります。しかし、最近ではパワハラという言葉が独り歩きして、上司に怒られればすぐパワハラだと過剰反応するモンスター社員もいるのは確かです。特に親からも、学校の先生からも叱られるといった経験がない社員(多くは若手だと思います)の中には、叱責を受けたり、怒鳴られたりすることに対する免疫がない人が多くいます。パワハラを問題にしないために重要なのは、まずえこひいきしないことです。そうすればある部下がパワハラだと騒いでも、ほかの部下も同じような対応を受けているため、そこまで影響はでないでしょう。
また、えこひいきはしなくても、注意をする時の言葉づかいを考えることも大切です。「ばかやろう!」のような罵りはもちろんですが、「部署を変えるぞ」のように、いたずらに危機感をあおる言動も慎むべきです。発言の動機はどうあれ、上司の立場を利用して部下を不安にさせるような発言は、部下の不信感を強くしてしまいます。
もちろん、家や学校と違って、社員の労働供給の対価として、会社は給料を支払っています。ミスの程度によっては、激しい言葉が必要になる場合もあるでしょう。怒鳴ったからといって即パワハラになるわけではありません。組織運営上、締めるべきところはしっかりと締めなければなりません。上司も、自分の部下に対する言動が上司の職務として行っているのか、それとも個人的な感情から出たものなのか判断できるはずです。言うは易く行うは難しですが、モンスター社員に過度に委縮せず、いうべきところはきちんということが上司の役目といえるのではないでしょうか。