ジャズとブルーズの違いって?
ブルースとジャズとの違いとは?
<目次>
ジャズとブルースの大きな3つの違い
- 主役が違う 歌がメインと楽器がメイン
- リズムが違う シャッフルビートと4ビート
- 影響力が違う ロックへの影響とロックからの影響
1:主役が違う 歌がメインと楽器がメイン
ジャズとブルース、どちらも生まれはアメリカの深南部(ルイジアナ州、ミシシッピ州、アラバマ州、ジョージア州、サウスカロライナ州とその周辺)。しかし時期に関しては、ジャズがルイジアナ州のニューオリンズで1900年頃から始まったとされるのに対して、ブルースはそれより少し古く1800年代後半にこのあたりで始まったとされています。ブルースとジャズは言わば兄弟のようなもの。大きな違いは、主役の違いです。ブルースはおもにギターで伴奏された歌を指し、ジャズは楽器演奏が主役。ここが大きく違います。
あまり恵まれているとは言えない 自分達の境遇をギター片手に歌ったものがブルース。ですから、ブルースは基本ギターと歌があればOK。そのほかの楽器はこの二つを盛り上げるためのものです。そしてそのブルースを、歓楽街でのBGMやダンスミュージックとしてエンターテインさせたものがジャズの始まり。もちろん、ジャズにも歌はありますが、マストな物ではありません。ここが大きく違います。
ブルースは「歌」、ジャズは「演奏」と覚えればOKです!
2:リズムが違う シャッフルビートと4ビート
兄弟のように似ているブルースとジャズですが、大きく違うのが基本のリズムです。ブルースは三連の中抜きと言われるシャッフルビート。ジャズは多くがスウィングと呼ばれる4ビートです。ブルースもジャズも、1小節に4つの音は変わりません。簡単に言えばブルースは「タッカタッカタッカタッカ」という感じで中抜きでハネるのが特徴。ジャズは「ツンツンツンツン」とハネないのが基本。ブルースはハネる、ジャズはハネないと覚えても良いかもしれません。
この違いは聴けばすぐにわかるほど大きなものです。
3:影響力が違う ロックへの影響とロックからの影響
ブルースの特徴、歌とギターがメイン、12小節ブルース進行、ペンタトニック・スケール(5音階、ド・レ・ミ・ソ・ラ)やブルーノート・ペンタトニック・スケール(ド・ミ♭・ファ・ソ・シ♭)によるアドリブ。これらは、そっくりそのまま「ロック」に多大なる影響を与えました。ほとんどのロック・ミュージックはブルースを土台にして生まれたと言ってよいでしょう。
反対にロックはジャズからの影響は、ほとんど受けていません。むしろ、ジャズはロックからの影響を受け、「ジャズロック」から「クロスオーバー」そして「フュージョン」というジャンルを派生しました。
その上、ジャズにはブルースからブルース進行とその奏法も伝わり、大きな音楽上のウェイトを占めています。
この点が、大きく違います。とはいえ、ジャズも「モード」を経て、その方法論や楽理は、ポピュラー音楽はもちろん「ファンク」や「ヒップホップ」などにも直接的に影響を及ぼしています。
結果どちらも影響力のある音楽ですが、影響を与えた先は大きく違います。
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Getting Ready
ブルースの世界には、3大キングと呼ばれる名実ともに王様が3人います。先日惜しまれながら亡くなったB.Bキング(2015年5月14日没、享年89歳)、ギターの逆さ弾き(右利き用のギターをそのまま左で弾いた)で有名なアルバート・キング(1992年12月21日没、享年69歳)、そして今回ご紹介するフレディ・キング(1976年12月28日没、享年42歳)です。
3人の中では、1976年に42歳で一番早く亡くなったので、知名度ではおとりますが、歌とギターは抜群にカッコイイのがフレディ。この曲「セイム・オールド・ブルース」は、私が20代前半の頃に参加していたブルース・バンドでプレイしており、ずっと探していた思い出の曲でもあります。
「モーニング・レイン」という歌詞から始まる、洗練されたブルース。その歌詞のままに題名を「モーニング・レイン」と間違って覚えてしまい、何年も探したものです。それだけに、やっと題名がわかってCDを手にした時には昔の恋人に再会したかのような、うれしはずかしの心境でした。それ以来、たまに取り出しては、一人じっくり聴いているおすすめの演奏です。
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グレート・パリ・コンサート VOL.2
デューク・エリントンは、モダンな感性を持っており、事実彼のバンドは決して古臭い音はしていません。ですが、実はエリントン自身は、19世紀最後の年1899年生まれで、スウィング時代からも一世代前の音楽家です。
青年時代には、ジャズと同じように同時期のブルースにどっぷりつかっていたことは想像に難くありません。スウィング時代に同様に活躍したバンドの中でも、デュークの楽団はブルースのリズム、シャッフルが得意でした。
デューク・エリントンのサウンドが特別なのは、もしかしたらこのルーツともいうべきシャッフルのリズムとモダンで複雑なハーモニーの絶妙なブレンドにあるのかも知れません。
ドラムのサム・ウッドヤードがゴキゲンな、デュークのシャッフルの凄みを感じることができる代表的演奏です。
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テナー・マッドネス
ここでは、1956年と言う絶頂期にあったソニー・ロリンズと、マイルスバンドにあって日の出の勢いで自分のプレイを磨いていたジョン・コルトレーンの唯一の共演を聴くことができます。
二人はお互いの才能を認め合う言わばライバル。たまたまスタジオに遊びに来たコルトレーンを誘っての演奏と言う偶然によって実現したブルース演奏です。それだけに、力が入ったのか最初にソロを取るコルトレーンが、ややフレーズが滑り気味でまとまりに欠けます。その上演奏終盤の4バース(両テナーの掛け合い)も両者ともにアイディア不足でやや冗長。決してベストとは言えない演奏ですが、貴重なことは間違いがないところ。
チャーリー・パーカーによって開かれたビ・バップでのブルース解釈の方法論。二人の後継者によるそれぞれの解釈の違いが面白く、ブルースから派生したジャズが、12小節のブルース進行を咀嚼し、発展させた成果がここにはあります。
今回のジャズとブルースの違いはいかがでしたか。そのほかの音楽ジャンルとのわかりやすい違いも、他の記事でご紹介しています。
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