マネジメント/周囲とのコミュニケーション法

コミュニケーション不足に有効!対話するトランプとは(2ページ目)

入社や転職、異動や昇進で、新しい業務に慣れたつもりでも知らず知らずのうちにストレスや悩みはたまっていくものです。だれに相談していいのかわからずこれを放置すれば、不安な精神状態に陥りかねません。このような事態を招く原因は、たいてい組織内のコミュニケーション不足です。今回はそんな状況を解消し、驚くほどに上下間やスタッフ間の距離感を縮めてくれる新しいコミュニケーション方法を紹介します。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

カードが生み出すキーワード・コミュニケーションの妙

人数は2人から可能。基本はカードに書かれた単語を使って他の参加者に質問をするゲームです。最初にまずカードをよく切って、参加者一人あたり5枚ずつカードを配ります(参加人数が多い場合には一人あたりの配布枚数を減らすことも可能です)。最初に質問者になるプレーヤーを決めます。その人は回答者を指名して、手持ちのカードから好きなものを好きな枚数選んで場に出す。そしてそのカードに書かれた単語を全て使って質問をするのです。

例えば、「学生時代」「特別」の2枚のカードを場に出して、「あなたにとって、学生時代に起きた特別な出来事は何ですか?」といった感じに質問を作るのです。カード1枚で、自由な展開で大枠質問を作るもよし、3~4枚のカードを使って事細かなシチュエーションを想定した質問を作るもよしです。指名された回答者の回答が終了したら質問者は、場に出した分のカードを残りの山から補充して質問者を交代し、この流れを繰り返します。

細かいルールはあってないようなものなので、回答者を指名せずに同じ質問で複数の参加者あるいは全員が答えるという流れもありですし、その場の雰囲気で様々なやり方にアレンジすることができます。いずれにしましても、質問、回答の繰り返しによってチームやグループのコミュニケーション活性化を手助けしてくれるのです。

参加者間の距離を縮め、「質問力」もアップ!

解説

コミュニケーションには話すだけでなく、「質問力」が求められる

このツール最大の特徴でありメリットは、通常の会話だけでは決して生まれて来ないような思いがけない質問が生まれることです。「カードに書かれたことを使って質問する」という制限により、普段他人には投げかけないようなことを聞くことができるのです。すなわち、思いがけない質問が回答者の思いがけない一面を照らすことにつながり、「この人には実はこういう考えがあったのか」とか「この人にはこういう過去の苦労があったのか」といったエピソードを引き出すのです。これが急速に参加者同士の距離感を縮めることに役立ちます。

同時にもうひとつ、このツールには重要なコミュニケーション活性化要素が盛り込まれています。それは、円滑なコミュニケーションには欠かすことのできない「質問力」の養成です。円滑なコミュニケーションは、お互いが一方的に話をしたのでは決して成立しません。上手な聞き手、尋ね手がいて初めて成り立つものなのです。

また、カードを使うことでコミュニケーション上有効な質問をするかというトレーニングもできます。たとえば、営業コミュニケーションにおいて、失敗する実例の多くは一方的に話し手になりすぎることにあります。「質問力」を鍛えることは、あらゆるコミュニケーションにおいて有効な活性化策につながるのです。

「対話するトランプ」は、大手企業はじめ企業内研修にも取り入れられはじめています。私自身も、研修やビジネス・ミーティングなどいろいろな場面でこのカードを活用させてもらっていますが、あらゆる人間関係が非常に円滑なものになっていくことに驚かされています。

コミュニケーションの悩みを抱える企業は少なくありません。この「対話するトランプ」は、実際に聞くことと話すことを通じてリアルの人間関係を活性化させるツールとして非常に利用価値が高いと感じます。社内コミュニケーションの不活性でお悩みの組織では、一度使ってみてはいかがでしょうか。
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