貴族の館は3階が、「貴族階」と呼ばれるメインフロア
パレルモ旧市街のメインストリート、コルソ・ヴィットリオ・エマヌエレ通り界隈に建ち並ぶ建物は、主に16~18世紀頃に建てられた貴族の館。外観は当時のままですが、その多くは、内部を今の暮らしに合うように分割・改装し、1階は商店として、また上階は住宅(アパルタメント)などに活用されています。貴族の館のメインフロアは、「貴族階」と呼ばれる3階部分。舞踏会やパーティーを行うための広間や天井画など、豪華な内装と間取りが特徴ですが、その文化的価値が高い場合、法律上改装できないため、今も当時のまま…になっているケースも。
ドッヂボールができそうなくらい広い部屋や、見上げると首が痛くなるほど高い天井に華やかなフレスコ画。そんな内装・間取りのアパルタメントは、今、どうしているか?結婚式場やイベント会場にレンタルしたり、はたまた貴族のファミリーが居住していたり。こちらもやっぱり現役として活用されていたりします。
シチリア州文化遺産指定「パラッツォ・イスネッロ」
ブッチリア市場に近い旧市街中心地の「パラッツォ・イスネッロ」は、シチリア州文化遺産にもされている歴史ある貴族の館。件の通り改装不可の貴族階には、伯爵家が暮らしています。重厚な扉を開けて中に入れば、6畳以上ありそうな玄関。つい畳換算したくなるのが日本人というものですが、その先の小サロン、さらに奥に続く大サロンの大きさたるや、大奥並み。
脅威の7メートルを誇る大ホールには、アールヌーヴォー様式のベネチア・ムラーノガラスの巨大シャンデリアが吊るされ、天井には、優美な天井画が華やかに描かれています。
18世紀に活躍した画家ヴィート・ダンナの天井画
天井画の作者は、18世紀にシチリアを中心に活躍したヴィート・ダンナ。日本では、その名を知る人はまだ少ないかもしれませんが、パレルモのジェズ教会、サンタ・カテリーナ教会、サン・マッテオ教会、またラグーザやシラクーサの教会などに、多くの作品を残した画家です。1760年に描かれたフレスコ画は、「パレルモの礼賛」と題され、喜びや快活さを表現。その中心には、パレルモの守護人ジェニオ・ディ・パレルモが笑顔を振りまいています。
貴重なジェニオ・ディ・パレルモを描いたフレスコ画は、小ホールにあるフランチェスコ・ソッツィ作のフレスコ画「四季」と共に、美術書「シチリア18世紀の貴族の大邸宅」にも掲載されています。
代々移り変わった所有者、居住した著名人にはエメリコ・アマーリも
中世の邸宅をベースに16世紀にパオロ・フェッレーリ男爵によって建設された「パラッツォ・イスネッロ」は、1748年からイスネッロ(シチリアの地方都市)の伯爵ヴィンチェンツォ・テルミネの所有となり、1750年に現在の姿になりました。19世紀には、名門貴族フィランジェーリ家の所有になり、「シチリアの晩鐘」研究の第一人者として知られるエメリコ・アマーリも居住。そして、貴族社会の崩壊と共に、20世紀初頭にナポリターノ家に所有が移りますが、当主の死後、相続のために各階が分割され、貴族階は、デ・ノーラ伯爵の所有となり現在に至ります。
昨今、ツーリスト文化協会とコラボレーションし、一般に開放中。(浮世離れした)プライベートな空間で18世紀の美しいフレスコ画を鑑賞することが可能です。旧市街の一等地に建つ貴族の館で、街歩きの合間に豪華な天井画の下でひと休み…なんて、贅沢な体験はいかがですか?
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■パラッツォ・イスネッロ
住所:Corso Vittorio Emanuele, 203
電話:338-3460100
開場:予約のみ入場可
料金:10€ お飲み物のサービス有り
問合せ:palazzoisnello@yahoo.com (日本語可)
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