イタリア/イタリアの観光・世界遺産

パレルモ旧市街の「プライベートな貴族の館」を訪問!

旧市街の中心地、コルソ・ヴィットリオ・エマヌエーレ沿いに建つ貴族の館「パラッツォ・イスネッロ」。侯爵家が暮らす貴族階を訪問することが可能です。街歩きがてら、18世紀のフレスコ画の下でひと休み…なんてことも!

岩田 デノーラ 砂和子

執筆者:岩田 デノーラ 砂和子

イタリアガイド

貴族の館は3階が、「貴族階」と呼ばれるメインフロア

palazzoisnello1

パラッツォ・イスネッロの貴族階、舞踏サロン。こんなお宅にお邪魔してみるのも旅の楽しい経験!

パレルモ旧市街のメインストリート、コルソ・ヴィットリオ・エマヌエレ通り界隈に建ち並ぶ建物は、主に16~18世紀頃に建てられた貴族の館。外観は当時のままですが、その多くは、内部を今の暮らしに合うように分割・改装し、1階は商店として、また上階は住宅(アパルタメント)などに活用されています。

貴族の館のメインフロアは、「貴族階」と呼ばれる3階部分。舞踏会やパーティーを行うための広間や天井画など、豪華な内装と間取りが特徴ですが、その文化的価値が高い場合、法律上改装できないため、今も当時のまま…になっているケースも。

ドッヂボールができそうなくらい広い部屋や、見上げると首が痛くなるほど高い天井に華やかなフレスコ画。そんな内装・間取りのアパルタメントは、今、どうしているか?結婚式場やイベント会場にレンタルしたり、はたまた貴族のファミリーが居住していたり。こちらもやっぱり現役として活用されていたりします。

シチリア州文化遺産指定「パラッツォ・イスネッロ」

palazzoisnello2

コルソ・ヴィットリオ・エマヌエーレ沿いに佇む「パラッツォ・イスネッロ」

ブッチリア市場に近い旧市街中心地の「パラッツォ・イスネッロ」は、シチリア州文化遺産にもされている歴史ある貴族の館。件の通り改装不可の貴族階には、伯爵家が暮らしています。

重厚な扉を開けて中に入れば、6畳以上ありそうな玄関。つい畳換算したくなるのが日本人というものですが、その先の小サロン、さらに奥に続く大サロンの大きさたるや、大奥並み。

脅威の7メートルを誇る大ホールには、アールヌーヴォー様式のベネチア・ムラーノガラスの巨大シャンデリアが吊るされ、天井には、優美な天井画が華やかに描かれています。

18世紀に活躍した画家ヴィート・ダンナの天井画

palazzoisunello3

見どころは、何と言っても1760年に描かれたヴィート・ダンナのフレスコ画

天井画の作者は、18世紀にシチリアを中心に活躍したヴィート・ダンナ。日本では、その名を知る人はまだ少ないかもしれませんが、パレルモのジェズ教会、サンタ・カテリーナ教会、サン・マッテオ教会、またラグーザやシラクーサの教会などに、多くの作品を残した画家です。

 
そんな時代の寵児とも言える画家を、自宅の
palazzoisnello4

パレルモの重要人物?!守護人ジェニオ・ディ・パレルモ

内装に起用するとは、当時のパレルモ貴族の繁栄ぶりが伺えるというものですね!

1760年に描かれたフレスコ画は、「パレルモの礼賛」と題され、喜びや快活さを表現。その中心には、パレルモの守護人ジェニオ・ディ・パレルモが笑顔を振りまいています。

 
palazzoisnello5

自宅の内装が美術書に掲載されるってどんな気でしょう?!

ジェニオ・ディ・パレルモは、サンタ・ロザリアが守護聖人になる前、古代よりパレルモを守っ てき た神で、現在その姿は、市役所や港、リヴォルツィオーネ広場など、市内の主要な8か所の絵画や彫刻、フレスコ画に見つけることができます。

貴重なジェニオ・ディ・パレルモを描いたフレスコ画は、小ホールにあるフランチェスコ・ソッツィ作のフレスコ画「四季」と共に、美術書「シチリア18世紀の貴族の大邸宅」にも掲載されています。

代々移り変わった所有者、居住した著名人にはエメリコ・アマーリも

palazzoisnello6

フランチェスコ・ソッツィ作の「四季」が飾る小サロン

中世の邸宅をベースに16世紀にパオロ・フェッレーリ男爵によって建設された「パラッツォ・イスネッロ」は、1748年からイスネッロ(シチリアの地方都市)の伯爵ヴィンチェンツォ・テルミネの所有となり、1750年に現在の姿になりました。

19世紀には、名門貴族フィランジェーリ家の所有になり、「シチリアの晩鐘」研究の第一人者として知られるエメリコ・アマーリも居住。そして、貴族社会の崩壊と共に、20世紀初頭にナポリターノ家に所有が移りますが、当主の死後、相続のために各階が分割され、貴族階は、デ・ノーラ伯爵の所有となり現在に至ります。

昨今、ツーリスト文化協会とコラボレーションし、一般に開放中。(浮世離れした)プライベートな空間で18世紀の美しいフレスコ画を鑑賞することが可能です。旧市街の一等地に建つ貴族の館で、街歩きの合間に豪華な天井画の下でひと休み…なんて、贅沢な体験はいかがですか?

<DATA>
■パラッツォ・イスネッロ
住所:Corso Vittorio Emanuele, 203
電話:338-3460100
開場:予約のみ入場可
料金:10€ お飲み物のサービス有り
問合せ:palazzoisnello@yahoo.com (日本語可)

>>>関連記事
パレルモの旧市街をもっと堪能!知られざる貴族文化
華麗なるパレルモ名門貴族の生活「パラッツォ・ミルト」

【編集部おすすめの購入サイト】
Amazonでイタリアの旅行ガイドをチェック!楽天市場でイタリア関連の書籍をチェック!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます