ライバル車のガソリン仕様を超えるカタログ燃費
ホンダ初のダウンサイジングターボとなる1.5L VTECターボ。かなりフロントバルクヘッドのギリギリまで押し込まれている印象で、エンジンルームの前後長を40mmも短くした苦労がうかがえる。冷却対策などに苦労したそうだ
また、燃費も重要なポイントで、フルハイブリッドを用意するヴォクシー/ノア/エスクァイアに対して、直噴1.5Lターボというダウンサイジングターボの搭載で勝負を仕掛けている。
単純にカタログのJC08モード燃費だけを見ると、トヨタ勢(上記)のハイブリッドは23.8km/Lで、ハイブリッドを用意しない新型ステップワゴンは17.0km/Lと分が悪い。しかし、ガソリン車同士の比較だとトヨタ勢の16.0km/Lを上回るし、日産セレナのS-HYBRID(スマートシンプルハイブリッド)の16.0km/Lを超えている。
しかもハイブリッドがない分、価格を抑えられる新型ステップワゴンは250万円以下で中級グレードが、ステップワゴン・スパーダも270万円台から買えるが、ヴォクシー/ノアのハイブリッドは300万円近い値札を付け、エスクァイア・ハイブリッドは300万円超だ。
さらに、1.5Lと排気量が小さくなったことで、自動車税は年額3万4500円と2.0Lのライバルの年額3万9500円より5000円安くなる利点もある。
1.5Lターボでも十分に走る
「1.5Lターボでミニバンが走るのか?」という疑問は誰もが抱くはずで、乗ってみると「十分に走る」という印象だ。
カタログでは、表記上1600-5000rpmで203Nmの最大トルクが発揮されるとなっているが、実際にはもう少し低い1540rpmから最大トルクが発揮されるそうで、これにより出だしから十分に力強く、「2.4L NAエンジン並という」ホンダの謳い文句もうなずけるところ。
高速道路では本線への合流時も、追い越しをする際も流れに乗るような常識的な範囲であればパンチ力不足を感じるシーンも少なく、ターボラグもあまり感じさせない。
高速道路では、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の完成度も気になるところだが、コーナーなどで前走車を見失う(メーカーから前走車認識マークが消える)シーンが散見されたのと、減速がやや急な印象でもう少し洗練された減速フィールに期待したい。
また、車線維持支援システムの「LKAS」と路外逸脱抑制機能は、車線逸脱を見逃したり、警告と作動が遅れたりするシーンもあった。それでも概ね車線の中央を維持しやすいようにステアリング操作の支援をしてくれるから、高速道路を使う頻度が高い場合はぜひオプションの「ホンダ・センシング」をセレクトしたいところだ。
トランスミッションは、全車CVTでアクセルを強めに踏みこむと音だけが高まり、加速がついてこないようなCVTらしいフィーリングは、MTやATからの乗り替えだと気になりそう。
だが、CVTしか乗ったことのない人ならすんなり受け入れられるだろうし、ミニバンであることを考えると「細かな点」にすぎないのかもしれない。
ハンドリングはとくにスポーティではないものの、素直な動きで背の高いミニバンでも安定感はまずまず。
快適な乗り心地
また、音や振動面は先代よりも洗練されていて、上質といえる乗り味になっている。フロアからの微振動を若干感じることもあるが、16インチも17インチも全体的には良好な乗り心地といえる。
とくにフロントシートは座り心地も良好で、シート自体の減衰も効いていて、先述した微振動も感じにくい。スペース的には特等席のセカンドシートで足裏を伝わってくる小さな振動を感じる。しかし、こちらも気になって仕方がないというレベルではない。
空間的には足元も頭上も十分に広いサードシートは、床下格納にこだわったためか、空間の割に座面も背もたれもサイズがやや小さめで、フロアからの高さも身長171cmの私には低めに感じる。
また、「わくわくゲート」利用時は、格納させたシートの上に人間が乗り降りすることになるためか、シート自体の座り心地もやや硬めだ。
サードシートは座面の沈み込みが得られるように、「Sバネ」の長さをある程度確保するなど工夫がされているそうだが、1列目と2列目よりも硬めなのは間違いない。
次ページは、さらに新型ステップワゴンの「わくわくゲート」について