新築やリフォームの際には、環境に配慮した設備選びを
住まいづくりはもとより、日々の暮らしの中で、環境に配慮することはあたり前となっています。住宅設備や建材にも、節水型トイレや節湯水栓、高断熱浴槽やLED照明、太陽光発電システムなど、エコロジーに配慮した設備機器は各メーカーから提案されています。多くを取り入れることは難しいかもしれませんが、暮らし方やプラン、予算に適したアイテムをできる限り検討するようにしたいものです。さまざまな機器の中でも、自然の恵みである雨水を有効利用する雨水タンクは、比較的取り入れやすいアイテムのひとつでしょう。
雨どいを通じて水をためる雨水タンク
すっきりとしたデザインなので設置しやすい有効容量200Lの雨水タンク。 [レインセラー200] パナソニック エコソリューションズ
雨水タンクとは、文字通り雨水を貯める容器のこと。雨水利用タンク、小型雨水貯留槽など呼ばれることもあり、一般的には、屋根に降った雨水を、雨どいを通じて集めて貯めるというシステムで、下部に設けられた蛇口からタンクに貯めた水を利用することができるものです。建物の雨どいだけでなく、カーポートなどに取り付けるケースもみられます。
庭の水遣りや掃除、災害時にも利用できる
雨水タンクに貯めた水は飲料水としては用いることができませんが、樹木や花、菜園の水やりはもちろん、玄関の掃除や夏場の打ち水、アウトドア用品や車の洗浄に利用することが可能です。塩素を含まない雨水は、植物や池の生物にやさしいというのもメリットのひとつ。日々の水道水の使用量を減らすことができるので、節水効果も期待できるでしょう。また、災害時にはトイレの流し水などとして使うこともできますし、手を洗ったり、洗濯の下洗いなど、断水時には重宝するでしょう。その他、雨水タンクは、急激な雨水増加による都市型水害の緩和、川への雨水の流出を一時的に防ぎ、洪水対策としても役立つメリットもあります。
家庭用はポリエチレン製が主流。容量の異なるタイプも
雨水タンクの素材は、ポリエチレン、ステンレス、木製、陶器製など。一般的な家庭用の商品は、ポリエチレン製のものが主流のようです。形状は、筒状のタイプや角柱、平たい形やスリムなタイプなどもみられます。外観デザインに馴染むようなシンプルなザインもありますし、ナチュラルな風合いのものやカラフルタイプも揃っています。
容量は、家庭用であれば、50リットルから300リットル程度の商品が揃っています。価格的には、2万円台~8万円台が多いようですが、容量やデザイン、素材によってさまざまです。
助成金や補助金の制度を持つ自治体も
雨水タンクの購入設置には、多くの自治体が助成金や補助金の制度を設けているので、設置する地域の制度や手続き方法を必ず確認してから購入するようにしましょう。支援制度の内容は各自治体で異なりますが、たとえば、購入(材料・設置)費相当額の2分の1から3分の2、上限1万円~5万円といった場合が多いようです。容量に規制があったり、素材、設置器数などの指定がある場合も。また、雨水タンクと浸透ますをセットで設置すると補助金が多くなる自治体もあります。 購入前に申請しなければならない場合もありますので、事前に内容をチェックすることが大切です。
サイズや雨どいの形状に適しているか、掃除のしやすさをチェック
雨水タンクは、エクステリアメーカー商品だけでなく、ホームセンターやDIYショップ、インターネットでも購入することができます。また、補助金制度を持つ自治体では、推奨商品の紹介をしてくれるケースも。いずれにしても、雨水タンクを購入する際には、下記のような点に注意して選ぶことが大切でしょう。■雨水タンクを選ぶ際のチェックポイント
- 大きさやサイズ / 設置するスペースに適するサイズか
- 素材 / 耐久性はあるか
- 取り付け部分 / 雨どいの形状・サイズに合うか
- 操作性 / 蛇口部分のレバーなどが使いやすいか
- 安全性 / 転倒予防策が施されているか
- デザイン / 外観やエクステリアに適しているか
- メンテナンス / お手入れ、掃除はしやすいか、部品や消耗品の購入先が明確か
- その他 / 補助金や助成金の対象品か
商品によっては、自分で施工することも可能
施工に関しては、商品によって異なりますが、リフォームやエクステリア工事店などに依頼することもできますし、製品によっては、施工説明書などを見ながら自分で施工することも可能です。いずれにしても、満水になるとかなりの重量になるので、しっかりとした地盤や水平な場所を確保すること、転倒防止用具などを利用することなども大切でしょう。雨という自然の恵みを実感することができ、節約やエコにつながり、災害対策にも貢献できる雨水タンク。子供へのエコロジー教育のひとつとして役に立つ、という声も聞かれるアイテムです。設置条件等が揃えば、導入を検討したい設備機器のひとつではないかと思います。
【関連記事】
- 住まいの寿命に影響する 雨どいの種類と特徴
- エクステリア(外構)プランの考え方、7つのポイント
- オープン外構とクローズド外構のメリット・デメリット
- 目的、動線、周辺環境etc.ウッドデッキプランの考え方
- 天然木・樹脂製 ウッドデッキの種類と特徴&選び方
- 居心地のいいサンルームをつくるための 7つのポイント
- 戸建住宅のベランダ&バルコニープランのコツ
- オーニングの種類と特徴&選び方のポイント
- スタイル、屋根材etc. カーポートの種類と特徴
- 居心地のよいテラスをつくる6つのポイント
- 小さな家での暮らしのエッセイ ~試行錯誤の庭づくり~
- ~一戸建ての醍醐味というけれど……~
- ~ウッドデッキとつながった洗濯物干し場~