テクノポップ/アーティストインタヴュー

ダンボール・バットは爽やかに壊れている(3ページ目)

AMIさん率いる“高円寺のデフ・スクール”を目指すダンボール・バットが、6月25日にニュー・アルバム『壊れたカセットはA.O.R.』をリリースします。全然、AORサウンドではないけど、AOR的に爽やかに壊れている、妄想の異質混合カオス! 懐かしネタから始まるAMIさんとの対談です。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

思いつきだけで成り立っている曲

ガイド:
楽曲に話を移しましょう。AMIさんは、収録曲についてほぼ99%、オマージュの源を明かしてしまいます(笑)。一曲目の「パーフェクトにうってつけの日」は、サリンジャー X ルー・リードという一見難解なものですが。そこまで明かしてもいいんだろうかと思ってしまう人がいるかもしれませんが、僕は「好きなものを収集して、それらを解体、そして再構成」という立派な芸術の様式であると考えています。

AMI:
全然難解でもなんでもないんです(笑)。たまたま、ルー・リードの「パーフェクト・デイ」という曲名と、サリンジャーの「バナナフィッシュにうってつけの日」っていう短編小説のタイトルが頭の中で合体しちゃって、「パーフェクトにうってつけの日」というタイトルが浮かんだので面白いなと思って、じゃあ、ルー・リードついでで「メタル・マシーン・ミュージック」もどきのノイズでも入れてみようかっていう、ただそれだけの曲です。だから歌詞の内容もルー・リードともサリンジャーとも全く関係ない。思いつきだけで成り立っている曲なんですが、オレの作る曲はいつもそんなのばっかりです。思いつきに思いつきが重なってそこに妄想だの勝手な解釈が加わってさらにそこに自分が影響を受けたり見聞きしてきたいろんなものが交じり合って化学反応を起こした結果出来上がっていく感じなんです。

曲のネタをバラすのは、クレイジーケンバンドの横山剣さんが、昔、アルバム全曲の解説…というか、ネタばらしを雑誌でやっているのを読んで、それが凄く面白くって、それから、自分でも曲のネタをバラすようになったんです。まあ、ネタをばらしたところで本人が勝手にそう思っているだけで、他人が聴いても元ネタなんて全く分かんないってっことのほうが多いのですが。
ami

AMI


ケンカしたらオレ多分負けますね

ガイド:
このローファイかつノイジーな曲での相方ヴォーカルは、 碧衣スイミングさん。彼女のBlog「すいみん通信」のプロフィールが、「気持ちは小学校四年生です」とありますが、やはりそんな方でしたか?

AMI:
小学生というか、精神年齢はオレより大人ですね(笑)。なんというか自分の考えをしっかり持ってるたくましい女子です。ケンカしたらオレ多分負けますね(笑)。カシオトーンを弾きながら一人で歌って踊って絶叫する彼女のステージも、凄くパワフルですよ。オレも最近、ダンボール・バット以外に「ネオン警察」というソロユニットでもライヴをやっているんですけど、彼女のソロパフォーマンスを見た直後、オレはこのままでいいんだろうか?と、反省したくらいですから(笑)。
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