思いをメロディに乗せてただ喋る。
僕にとって歌は3分間の芝居です
石川禅さん
甘美さと渋さ、柔らかさと力強さ、どちらも併せ持つ唯一無二の美声。そして卓越した演技力。ミュージカルを中心に活躍中の石川禅さんが25周年コンサートを開催されます。
舞台ではずっと拝見していましたが、私が初めて禅さんを間近で見たのは、『ウーマン・イン・ホワイト』の初演。顔合わせでひとり譜面台の前に立たれて歌われたその生声の迫力に、驚くやら感動するやら。今回もまず曲目の贅沢さにびっくり。ミュージカルファンにはたまらない曲ばかりで、禅さんのチャレンジ精神に拍手です。お客様を喜ばせたいという気持ちが溢れていますね。
というわけで、コンサートの歌稽古の後、セットリストを見ながら、インタビューさせていただきました。
実はハンドマイクを持って歌うのが怖いんです。
ヘッドマイクに馴れてしまって
−−舞台デビュー25周年、おめでとうございます!四半世紀ですから、びっくりですよね(笑)。1990年、東山紀之さんと毬谷友子さんが主演された『なよたけ』で小さな役ですが、プロデビューさせていただきました。そして同年、劇団青年座公演『評決~昭和三年の陪審裁判~』では、青年座の新人賞をいただきました。
−−今回、大きな曲がずらりと!それもミュージカル曲ばかりなのが嬉しいです。
僕、ミュージカル曲しか歌えないんですよね。僕にとってミュージカルは芝居という認識だから。実はハンドマイクを持って歌うのが怖いんです。頭につけるヘッドマイクにしていただくとOKなのですが、手持ちのマイクは苦手なの。今回もハンドマイクなので、ちょっとドキドキ。
−−禅さんにとって、歌イコールお芝居していることなんですね。
はい。なので英語の歌はピンチなんです。自分で何歌っているのか、よくわからない(笑)。今回は「雨に唄えば」を英語で歌うのですが、「I’m singing and dancing」って、踊れないのにどうしたらいんでしょう?(笑)。芝居に入り込める歌はたとえ大曲と呼ばれていても、それほどプレッシャーがないんです。多少音が外れても、演技で許されますしね。歌重視の方が辛いです。