J-POP/ヴィジュアル系グループの情報

V系バンドのフライヤー事情(2ページ目)

インディーズのヴィジュアルシーンにおいて街宣活動に用いられるツールのひとつとしてフライヤーが挙げられ、どれを取っても各バンドの創意工夫が見られる。そこで、ヴィジュアル系バンドの個性豊かなフライヤーをピックアップし紹介すると共に、現在のビラ配りに関する戦略、事情について探りたい。

執筆者:金川 彩子

貰い手の立場に立ったアイテムを用意。
街宣活動に力を入れている<ANSIA>

ANSIA

ANSIA

続いてヴィジュアル系バンドならではフライヤーをご紹介。<ANSIA>は集合アー写を掲載したフライヤーの他に、過去にソロアー写を掲載したメンバー別のフライヤーを用意していたことも。自らの手で自分の顔の印刷されたフライヤーを配っていた。

 
ANSIA

ANSIAソロフライヤー

ライブ後に矢継ぎ早に差し出されたフライヤーをあとで見返すと「このバンド、知ってるのに!誰からもらったんだろう?」と思うことはないだろうか。

だがソロのフライヤーでは、相手の顔がよく見えない暗闇であろうと、相手がすっぴんであろうと、あとでどのメンバーから受け取ったかわからなくなる、ということもないだろう。また、そこにバンドホームページのURLだけでなく、個人のブログのURLを記載するなど、より個人に関する情報を盛り込める利点がある。

他にソロのフライヤーには、一枚手に入れることで、他のメンバーについても気になり始めるのではないか、という狙いも込められているとのこと。また、ビラ配りは主に、自分たちを知らない人へ働きかける活動ではあるが、好きなメンバーの大きくプリントされているフライヤーは、すでに彼らを応援しているファンにも喜ばれるものだろう。

街宣活動に力を入れているANSIAは他に、ティッシュ配りも行なっている。配る側にとってポケットティッシュには、受け取ってもらいやすく捨てられない、という一番のメリットを兼ね備えているという。そして、ひとつのティッシュにつき6枚のちり紙が入っているため、使用するたびに、つまり計6回も目にすればバンド名を覚えてもらえるだろう、という思惑も。街宣活動は配ることで自己満足に終わるやすいものだが、こうした小さな知恵の積み重ねはやがて無視することのできない力となるだろう。


タブーをもエンターテイメントに変える
異色のフライヤー<マリアと繋がりギャ>

ライブ後に受け取ったフライヤーに目を通していると、たまたまかもしれないが、<マリアと繋がりギャ>というユニットのものがかなりの高頻度で挟まっている。彼らはマリア様とその繋がりギャである仔マリアのふたりからなるヴィジュアル系ユニット。普段、表では触れられることのないバンドとファンに関するタブーがユニット名にも表現されているように、そのインパクトは強烈だ。

マリアと繋がりギャ

マリアと繋がりギャ最新フライヤー

そんな彼らのフライヤーがどのようなものかといえば、ユニット名に順じて、彼らのLINE IDやキャリアメールアドレスが堂々と記載されている。まず、そこが他のヴィジュアル系バンドのフライヤーと一番大きく異なる。そこで、これだけ公に連絡先を公表していたら、さぞかし繋がりの人数も多いだろうと思い、思い切って繋がりの総数についてマリア様に尋ねてみた。すると「現在は既婚者なので繋がりというものは作らないですね。メールしたりとかはあくまでもライブへのお誘いの手段のひとつ。V系界でいう繋がりはいないです☆」という。

「実際に連絡をしてみたらどうなるのだろう……?」という好奇心を掻き立てられるものだが、あくまでも、ファンメール同様、気軽にファンと交流できる場を設けたいというクリーンな思いからなされたもの。実際、連絡先を通してその日のライブの感想が送られてくるようで、それが毎回とても楽しみという。

フライヤーひとつにも、彼らのステージングに繋がるエンターテイメント性がそのまま溢れているのが面白い。ちなみに余談だが、繋がりギャである仔マリアさんはマリア様の実の奥さまというのも他のヴィジュアル系バンドと大きく異なる特徴だ。

>>最後に、人気バンドに学ぶ手間と工夫を紹介
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