不安な気持ちは「向上心」の表れである

うつむく女性

よりよく生きたいという欲望が強いから、失敗することへの不安も強くなる。それは「向上心」の表れなのです


人前でうまくしゃべれないのではないか、本番になると失敗するのではないか……。こうした不安にかられやすい人は、人生のさまざまな場面で同じような不安を感じやすい傾向にあるようです。しかし、こうした不安が強い人は、実は高い「向上心」を持つ人だと言えます。

日本の伝統的な心理療法である「森田療法」に、「生の欲望・死の恐怖」というキーワードがあります。「生の欲望」とは、「幸せになりたい」「成功したい」というような「よりよく生きたい欲望」を意味します。たとえば、人前でのスピーチに自信がない人の心には、「うまくスピーチができたら…」という強い生の欲望があり、本番に緊張してしまう人の心には、「本番を完璧にこなすことができたら…」といった強い生の欲望があるのです。

この生の欲望の裏返しとして存在するのが、「死の恐怖」です。「ミスをしたくない」「笑われたくない」といった「失敗を恐れる恐怖」です。上の例で言うと「スピーチで失敗してしまうのではないか…」「本番に失敗してしまうのではないか…」という強い不安が死の恐怖です。

「生の欲望」と「死の恐怖」は、表裏一体の関係にあります。「よりよく生きたい」という生の欲望が強ければ強いほど、そうならないことへの死の恐怖も強くなります。そのため、どうしても死の恐怖に気をとられやすくなり、「この恐怖がある限り、うまくいくはずがない」と考えやすくなるのです。
 

具体的に行動することでしか、死の恐怖はなくせない

山頂に立つ女性

具体的に行動することでしか、死の恐怖はなくせない


死の恐怖は生の欲望に必ずついて回るため、取り除くことはできません。したがって、まずは「この気持ちは自然な感情」だと認めることが必要です。そして、次に何をするべきか。それは「生の欲望」にしたがって、「具体的に行動する」ことです。

たとえば、人前でしゃべることに自信がない人は、「目の前の人にこれを伝えたい」という生の欲望にしたがい、その欲望を満たすために、不安があっても思い切って人前で話してみましょう。本番になると緊張して足がすくむ人は、「自分の実力を試したい」という生の欲望にしたがい、その欲望を満たすために緊張しても思い切って本番に挑んでみましょう。

具体的に行動をすれば、確実に何かが変わります。最初は、器用にできない自分が恥ずかしく、嫌に感じるかもしれません。しかし、それでも具体的な行動を重ねることです。一つ経験すれば一つ経験値が増え、自信もついていきます。この積み重ねで、死の恐怖は薄れていきます。
これから登る高い山の山頂を見上げ、「登れなかったらどうしよう」と思っていても何も変わりません。不安でも一歩を踏み出し、歩き続けるしかありません。歩み続ければ、確実に山頂に近づきます。不安を抱えながらも具体的に行動すれば、思い描いた理想に近づけるのです。強い「死の恐怖」の裏には強い「生の欲望」、つまり高い「向上心」があります。あなたも自分の向上心を信じて、具体的な一歩を踏み出してみませんか?
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