「私は○○です」。隣の社員が何者かが分かる名札と人物事典
名前が分かれば声も掛けやすくなる
今日、横に座った人が誰だか分かる、という前提です。つまり顔見知りということがフリーアドレスの効果を高めるには必要となるのです。そうでないと、声を掛けられないからです。見ず知らずの人に積極的に声をかけるのは勇気がいりますし、いちいち自己紹介しないといけないのであれば、それも面倒なことです。
良く聞く話で、顔見知りの少ない新入社員と中途社員にとって、フリーアドレスは酷なオフィスであるというものがあります。声を掛けようがないからです。それをサポートする意味でも、顔写真の掲載された人物事典を発行しておくのは効果があるでしょう。
紙で発行するか、イントラ上に置いておくかは別として、その情報を基に会話をするきっかけを提供しておくのです。職歴や仕事上での得意分野、趣味やマイブームなどのプライベート情報を掲載しておきます。会話はそのきっかけがないとなかなか始められないものです。
また、顔は分かるのだが、氏名が分からない、という状態もあるでしょう。隣に座った社員が誰なのか、氏名が分からないと呼びかけることができません。そこで、大きめの名札を付けるか、大きめのネームプレートを机に置くなどして、私が誰なのかを明示します。
このような仕掛けをしておけば、誰がそばにいて、その人はどのような経歴があり、きっと私の悩みを聞いてくれるだろう、悩みをシェアしてもらえるだろう、だからちょっと声を掛けてみよう。そんな後押しができるのではないでしょうか。
「ちょっといいですか?」気軽な会話ができるちょいミーティングスペース
ちょっと声を掛けてみたいいが、ここで悩みは話せない。でも会議室を予約するまでの話ではない。もっと気軽にざっくばらんに話をしたい。そのような声に応えるように、気軽に打合せができる“ちょいミーティングスペース”を設けてはいかがでしょうか。いまファミレスタイプの背の高いソファを導入する企業が増えています。社員も好んで使うそうです。さらにその周りを吸音効果の高い間仕切りで囲えば、音が外に漏れないとか。あるいは、通路スペースに小さな丸テーブルとパイプ椅子を数多く設置して、だれでもが予約なしに、すぐに使える状態で開放しておく。そんなすぐに相談や打合せができるスペースがあれば、声も掛けやすくなるでしょう。
その他に、リフレッシュスペースの設置があります。コーヒーサーバーや自動販売機が利用できるコーナーです。開放的なスペースデザインとして、声が掛けやすい状態を醸し出します。テーブル間の距離を取り、込み入った話もできるように配慮してあげます。
悩みの相談のため、忙しい先輩や同僚を外に連れ出すわけにもいきません。でもオフィスの中で、仕事の延長で話をするのは気が進まない。そんな声に応えるために、オフィスとは雰囲気の大きく異なる、このリフレッシュスペースがあれば、勇気を出して相談もできるのではないでしょうか。
いずれにせよ、五月病に対して企業でできることは、コミュニケーション活性化です。日ごろからコミュニケーションが取りやすい状態を仕掛けておくことが大切です。今回は、悩みを抱えた社員が自発的に相談できるような仕掛けを紹介してみました。