マンション物件選びのポイント/マンションの内装・設備・向き

西向きリビングに大開口がある住戸の注意点

今では新築分譲マンションの約7割で窓に複層ガラスが使用されるようになりました。最近ではさらに断熱性の高いLow-E複層ガラスを使用するマンションも。特に西向きに大きな窓がある住戸では窓の性能に注意が必要です。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

窓の性能が快適性を左右する

購入前に窓の性能を確かめましょう

購入前に窓の性能を確かめましょう

一戸建てでもマンションでも、住戸の室内環境を快適にキープするために「窓の性能」がカギを握っています。もし窓に断熱性能が低いもの(=従来の単板ガラス)を使用していた場合、その部分から熱の出入りが生じて室内環境は外気の影響を受けやすく、夏は暑く冬は寒くなり、快適な室内環境にするためにたくさんの光熱費がかかるでしょう。

また、断熱性の悪い窓は冬には結露がつき、その結露がカビの原因になり、住まい手の健康や建物に悪い影響を与える可能性があります。

 

新築なら複層ガラスが一般的に

そこで新築で住宅を建てる時には、従来の単板ガラスに代わり断熱性能の高い複層ガラスが使用されるようになってきました。その利用率ですが、平成25年度では新築一戸建て住宅の窓の93.7%に、マンションでは約75%の窓に複層ガラスが導入されました。この数字を見る限り、新築住宅の窓ガラスと言えば複層ガラスが一般的なスペックになりつつあると言えるでしょう。

【表1】複層ガラス/Low-E複層ガラス普及率の推移(出典:板硝子協会)

【表1】複層ガラス/Low-E複層ガラス普及率の推移(出典:板硝子協会


断熱性を高めた複層ガラス

ところで複層ガラスとは何でしょうか。複層ガラスはその名のとおり複数枚のガラスを使い、間に乾燥空気またはアルゴンガス等を注入して1ユニットとしたガラスのことです。従来の単板ガラスと同じように光は通しますが熱を通しにくく、断熱性能を高めています。

さらに高断熱なLow-E複層ガラスも

さらに高断熱仕様のガラス「Low-E複層ガラス」もあります。複層ガラスの一方のガラスの内側に特殊な金属膜をコーティングし、より断熱性を高めています。特殊な金属膜をコーティングする位置によって断熱性を強化した「断熱型」、遮熱性を高めた「遮熱型」に分かれます。

Low-E複層ガラスの使い分け

具体的には複層ガラスの外部側のガラスの内側に特殊金属膜をコーティングしたものが「遮熱型」で、複層ガラスの室内側のガラスの内側に金属膜をコーティングしたものが「断熱型」です。遮熱型は日射の侵入をカットしたい窓に使い、断熱型は室内の冷暖房を外に逃がしたくない寒い部屋などに使います。遮熱型と断熱型は、地域の気候風土や窓の方位によって使い分けます。

Low-E複層ガラスの参考図。左が遮熱型Low-E複層ガラス、右が断熱型Low-E複層ガラス。特殊金属膜の位置が異なる(画像提供:株式会社LIXIL)

Low-E複層ガラスの参考図。左が遮熱型Low-E複層ガラス、右が断熱型Low-E複層ガラス。特殊金属膜の位置が異なる(画像提供:株式会社LIXIL


Low-E複層ガラスの普及率

このLow-E複層ガラスの普及率ですが、【表1】より平成25年度の新築一戸建ての64.1%のガラスに使用されています。マンションでは全戸に使われたガラスのうち7.5%と、使用が少ない状況となっています。

マンションでの高断熱ガラスの採用は戸建ての後から追いついていく感じですので、今後増えてくると考えられます。またLow-E複層ガラスは複層ガラスのように全方位の窓に使うというよりも必要な箇所を選んで採用しているケースがあることも一因と考えられます。

次のページでマンションの窓ガラスの注意点について見ていきます。
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