マネジメント/マネジメントの基礎知識

経営の新たなキーワード、オープンイノベーションとは(2ページ目)

最近頻繁に耳にするようになったマネジメント用語に、オープンイノベーションというものがあります。従来のイノベーションが組織の内部から沸き起こって来るものであるのに対して、こちらは内外の接触をきっかけとして発火するものという印象でしょうか。新時代マネジメントのキーワードになりつつあるオープンイノベーションについて、実例を踏まえながら解説します。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

アップル、P&G……外資が先行、対応急ぐ国内勢

解説

iPhoneこそスマホへの大転換を起こしたオープンイノベーションの申し子

オープンソースの代表例は、iPhoneの販売を機としたiOSのプログラム公開によるアプリケーション開発の一般公募的手法の導入です。これが、iPhone上でのあらゆるユーザーのニーズを捉えた無数のアプリ商品化につながり、iPhoneをデファクト製品とした「脱携帯電話=スマートフォン時代」へのパラダイム変革を世にもたらしました。自社開発にこだわってきた国内大手メーカーとは一線を画したこの戦略が、功を奏したと言えます。

企業として早くからオープンイノベーションに積極的に取り組んでいる例として、P&Gがあげられます。同社は、「コネクト・アンド・デベロップメント(つなげる+開発する)」の名のもと、オープンイノベーションで技術、知識、パッケージ、製造技術、デバイスから、市場調査方法、マーケティング手法、ビジネスモデル、トレードマークに至るまで、多くの製品やサービスを生み出しています。同社が組む相手は、大企業、中小企業を問わないばかりではありません。例え個人であっても優れた提案であるならパートナーシップ締結に躊躇はない、まさにオープンイノベーション企業の鏡と言えそうです。


行政でも注目されるオープンイノベーション

オープンイノベーションの動きは企業活動にとどまらず、行政にもその波は波及しつつあります。行政が民間との新事業創生を狙いとして立ち上げた横浜市の「共創フロント」はその代表格と言えるでしょう。それまでの「一部の企業に利するような行政のあり方はいかがなものか」という考え方から脱して、「行政と組むことで地元企業が活性化し、税収が増えることは公共の利に叶う」という考え方への転換は注目に値するものです。既に公衆トイレへのネーミング・ライツの導入等、民間アイデア発の事例が多数誕生しているようです。

このような時代の流れを受けて、今多くの大手企業ではオープンイノベーションに関する専門セクションを創設するなどの動きが盛んになってきており、また同時にオープンイノベーションを第三者的立場で支援する団体も現れています。公的ベンチャーキャピタルである産業革新機構支援の下オープンイノベーションを合言葉に12年に設立されたオープンイノベーション促進協議会などは、大企業、中小企業、個人を問わないイノベーターたちの出会いの場を提供しています。

オープンイノベーションが、これからの時代あらゆる組織マネジメントのカギを握ることは確実です。この機会に、ぜひ覚えておきたいキーワードなのです。
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