もともとは抗炎症剤だったトラネキサム酸
トラネキサム酸は、アミノ酸の一種で元々は止血剤や抗炎症剤として医療の現場で昔から使われていたお薬です。トラネキサム酸は炎症の原因である“プラスミン”という物質を抑えることで抗炎症作用を発揮します。ですので、今までは喉の痛みなどの抗炎症剤として広く使われていました。近年になって、肝斑の原因としてプラスミンが関わっていることが分かりました。プラスミンが色素細胞であるメラノサイトを活性化し、これが肝斑に影響。そのため、プラスミンを抑えることのできるトラネキサム酸が、肝斑の治療に使われるようになったのです。メラニンを作る初期段階でメラノサイトの活性を低下させることで、肝斑を予防、治療していくことが分かっています。
美容皮膚科でも保険内で診療が可能
肝斑はよく老人性色素斑と混同されがちですが、その原因は女性ホルモンや摩擦による炎症が引き起こす左右対称で広範囲のシミです。頬骨からこめかみにコの字型に発生し、30代~40代の女性に多くみられます。色は薄い褐色で、老人性色素斑よりももやもやとしているのが特徴。もしかして肝斑かも?と思われた方は、皮膚科や美容皮膚科での診断をおすすめします。トラネキサム酸は、医師が肝斑や炎症性色素沈着などきちんと診断をつければ保険内で処方することが可能です。この場合は内服薬となります。レーザー治療では効果が悪化したり、効果が少ないと事もあるいわれています。内服薬の副作用は多くありませんし、胃部不快感や発疹など一般的な薬剤と同じですが、止血効果がある薬なので持病がある方は主治医に相談してみてくださいね。
皮膚科で処方される内服薬を試してみて
最近では、化粧品にもトラネキサム酸が配合されているタイプが多く出ています。もちろん、市販のトラネキサム酸が含まれた化粧品でも一定の効能はあります。ただ、内服すると一番効果がありますので、一度受診されてみてはいかがでしょうか。