飯伏との友情も日本語も消し去って殺し屋ザ・クリーナーに変貌
業界の盟主・新日本プロレスのジュニア・ヘビー級タッグ戦線のトップを取ったことでオメガと飯伏は新たな道を模索します。飯伏は翌11年5月に新日本のジュニアの祭典『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』に優勝、6月18日にはプリンス・デヴィットに勝ってIWGPジュニア・ヘビー級王者になりました。
飯伏が新日本マットでシングル・プレイヤーとしてトップを取れば、オメガは負けていられないとばかりにメジャー団体のもう一方の雄・全日本プロレスに新天地を求め、11年10月23日、KAI(現在はW-1所属)に勝利して世界ジュニア・ヘビー級王座を奪取します。飯伏とオメガは2大メジャーのジュニア・ヘビー級のシングル・ベルトをそれぞれ腰に巻く快挙をやってのけたのです。それはDDTの実力を満天下に知らしめるものでもありました。
そして2人は12年8月18日のDDT日本武道館初進出のメーンイベントで4年ぶりに一騎打ち。飯伏が中学生の時にプロレスごっこで開発したという“フェニックス・プレックス”を雪崩式で決め、さらにフェニックス・スプラッシュで勝っています。
その後も2人はゴールデン☆ラヴァーズとして切磋琢磨してきましたが、冒頭の言葉の通りオメガがDDTを退団することになり、別々の道を歩むことになりました。新日本のリングで組んでいく可能性もありましたが、ヘビー級に転向した飯伏に対して、オメガはジュニア・ヘビー級でやっていくことを選択。しかも新たなポジションをヒールユニットの“BULLET CLUB”に求めたのです。
新日本との契約を発表してから1カ月後の昨年11月8日、大阪でタイチの挑戦を退けたIWGPジュニア王者の田口にBULLET CLUBのメンバーを従えて宣戦布告したのは、黒づくめのコスチュームに身を包んだオメガでした。DDTのファンからも、新日本のファンからも愛されたオメガは「たったひとりですべてを破壊して消し去るザ・クリーナー」に変貌したのです。契約記者会見の時とはまるで違う、ワルの匂いを発散するオメガにマスコミ関係者も愕然としました。
今年に入って1・4東京ドームで田口からIWGPジュニア王座を奪取し、2・11大阪で田口のリマッチを退け、4・5両国ではメキシコのマスカラ・ドラダ相手に2度目の防衛に成功したオメガは「日本人とメキシコ人を倒したから次はアメリカ人だ!」と5月3日の福岡国際センターでは現IWGPジュニア・タッグ王者アレックス・シェリーの挑戦を受けます。
現在のオメガはDDT時代とは本当に別人のようです。ドラダ相手に防衛した4・5両国ではかつての盟友・飯伏がAJスタイルズのIWGPヘビー級王座に挑戦しましたが、オメガは同じBULLET CLUBのスタイルズのセコンドに付いて試合に介入、飯伏の王座奪取の夢を潰しました。また、親日家のオメガはDDT時代に必死に日本語を勉強してインタビューも日本語で受け答えができるまでになりましたが、ザ・クリーナーになってからは日本語を一切話しません。
「ザ・クリーナーとしてこれまでのジュニア・ヘビー級のすべてを消し去り、俺がこれまでとは違ったレジェンドになる」と英語で話すオメガ。自分の過去を消し去って新たな野望に邁進するニュー・オメガの今後に注目しましょう。まずは福岡決戦です!